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第42話

「ああっ……奥の奥をっ、思いっきりっ……衝いてっ!!  ソコ、イイっ……。凄くっ……」  ユキの足がオレの腰に縋るように、いや結合部分がさらに深くなるようにかも巻き付いてくる。  そしてオレの一突きごとに甘く蕩けた白い胡蝶蘭の嬌声を零し続けている唇の端からは透明な雫が止め処なく零れている。オレの腹部に当たって淫らな水彩画を描く場所からも。 「あっ……んっ……もうイクっ!イクっ!!  シンはっ??」  慌てた妖精のような可憐な声がユキの閉じられなくなった唇から零れてシーツの上に淫らな紅い花を咲かせているような錯覚を抱く。 「オレも、もう……ユキの身体とか……反応が凄すぎて……普段よりも……早く逝ってしまいそう……だ。  ユキ……愛している……」  そう言いながら一番奥を最も強い力で衝いた。 「僕もっ……愛して……ああっ、もうダメっ!!イクっ、イっちゃうっ!!」  オレの息子が弾けるのと、ユキの飛沫が腹部に飛び散るのはほぼ同時だった。 「ねえ、こんな僕のどこを好きになってくれたの?シンは……」  荒く熱い息が整わないうちに口づけを数え切れないほど交わしてしまった。オレからだけでなくてユキからも積極的に唇を重ねてくれたのもとても嬉しい。  そんな熱く甘い時間の余韻を楽しむために皺くちゃになってしまったシーツの上で抱き合いながら熱く湿った布が次第に冷えてきているのも心地いい。 「正直。容姿はド・ストライクというわけではなくて」  そう言いながらこめかみに唇を落とした。  普通ならムッとした表情を浮かべるところだがユキは違うだろうなと何となく思って正直に言った。  案の定ユキは幸せそうな笑みしか浮かべていなかった。 「こら、そこって怒るトコだぞ」  可憐に立った乳首をピンと弾く。 「ああんっ。ジンジンしてるトコなのに……そういうことをされるとっ……」  ユキが甘く咎めるような眼差しで見詰めてくる。 「未だ鎮まっていないのか……。そういうトコも可愛いし大好きだが。  ド・ストライクじゃないが、ストライクだったな……。ただ、ユキにとってはあんな極限状態だったのに理知的な判断が出来る点かな。  普通は怖くてそこまで考えるコトなんて出来ない」  ユキはむしろ驚いたように目を真ん丸にさせている。 「え?そうなの?だって、普通は考えるでしょ?お客さんを楽しませないといけないっていう点が最優先だったでしょ?」  世間知らずという点では確かにそうだろうが、ユキのそういう優先順位の付け方が出来る上に自分の恐怖を抑えるすべを知っているのだろう。  お母様は確かに深窓のお嬢様がそのまま年を取った感じだったので、きっとこの考えとか思考方法は詩織莉さん同様にお父様譲りなのかもしれない。 「そういう考えが出来るという点が一番惹かれた。  身体の相性とかも抜群だし、それに感じやすい身体を持っている。  二人の夜を重ねれば、もっと敏感な身体になるだろう。  初めての日に『中逝き』なんてなかなか出来ないだろう?しかもあんな環境で。それが出来たユキの身体は凄いと思った。  多分、頭と身体両方が連動しているのだろうな……」  可憐に立った乳首の輪郭を指で確かめていると、ユキは満足した猫のように顎を上げている。 「女の人とは違って、男がココで感じるようになるには時間と手間が掛かるってユリさんが言ってたけど……。僕はそうでもなかったみたい。  もっと触って、そして転がして」  ユリの色好みというか奔放さは割と場馴れしているオレから見てもドン引きというか驚きだったが、ユキはそうは受け取らなかったらしい。そして気になったのはあの店のスタッフの中で他の名前は出て来ないのに、ユリの名前は良く出て来ることだった。  あの奔放さは他人事だからどうでもイイが、ユキのことに対して何となくトゲを隠しているような気がした。まあ、ユキがこのマンションから出なければ良いだけの話だが。  コリコリした小さな場所を掌全体を使って円を描く。 「あっ……それも……イイっ……。すごく感じるっ……」  ユキの腕がオレの背中に回された。そして華奢な身体もぴったりと密着して来て、しかも身体を揺らしている。  新たなダンスに誘うように。 「ユキ、オレに背中を向けて、足を開いてくれれば嬉しい」  取って置きの低音ボイスで囁くとユキの身体全体が紅を濃くした。 「もう一度、するの?」  ユキが弾むような、しかも艶やかな声で返してくれたのも嬉しい。  いったん繋がりを解くと、ユキの門から白いエキスが溢れてくる。  ショーの時に不本意ながら客席に向かって見せた場所だが、今はどうなっているのだろうと、指で開いた。 「やだっ……。恥ずかしいっ」  ユキが身をよじった動きを利用して紅く染まった場所から溢れている白い液体の色の対比も淫らな優雅さに満ちていた。 「シン……あのね、奥の奥を衝かれると、物凄く感じるんだけど、あれって普通のことなの?  ユリさんとはそこまで話したことがなくて、さ」  ピロートークを交わしたいのか、それとも愛の行為を続けたいのか分からなった――多分その両方のような気がしたが――ユキが真剣な感じで聞いて来た。

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