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第43話

「オレも聞きかじりなので間違っているかもだが、この辺りは直腸と呼ばれている……。今指で開いている部分だが」  指のV字の角度を大きくすると、ユキの身体がヒクリと震えた。 「やだっ……、太ももにっ……シンのがっ……滴っていて、ヘンな感じっ……」  制止する声も何だか艶やかな熱を帯びていて白いシーツを桃色に染めるような感じだった。  そしてユキの華奢な薄紅色の太ももにオレの放ったモノが滴っているのも物凄く刺激的な眺めだった。 「更にその奥はS字結腸と呼ばれていて、ソコを衝かれると物凄く感じるらしいと聞いている。  ただ、S字結腸まで平均で25センチほど有るらしいので、普通の息子では届かない……らしい」  何だか自慢するような気がしてつい口ごもってしまった。ちなみにオレの息子はそこまで大きくはないが、あくまでも平均なのでユキの直腸が短いのだろうが。  何だか大きさに拘るのはユキの居た世界に――といってもあくまでお屋敷の中しか知らなさそうだったが――どっぷりと浸かっていて真珠まで入れてしまうメンタリティの持ち主と同じような気もした。 「そうなんだ……。だからユリさんも言ってなかったのかな?  そう言えば、尿道とかに医療用の道具を使うのもイイ……とか聞いたことがあるけど、あれは痛そうだもんね」  ユリの名前が出たのでさり気なさを装って、そして素肌へのボディタッチは続行しながら聞いてみた。 「ユリ――さんとは親しいのか?そんなことまで話すほど?」  オレも含めてだがナンバー1を自認する人間は他人を蹴落とそうとするタイプが多い。そして中には親しさを装って近寄ってくる人間が居るのも経験上知っていた。多分、愛人の座に収まった詩織莉さんが組の中で勢力を拡大していったのもその方法だろう。正妻であるユキのお母さんが浮世離れしている分「姐御」として慕われそうなのは詩織莉、いや栞さんのお母さんの方だろうし。  尿道に関しては都市伝説かと思っていたが、ユリはあんなに場馴れしていたので経験済みで、しかもイイらしい。ま、それは個人の勝手だろうが。 「ユリさん?お父様に連れられて店に行った時に何だか雇われオーナーに内緒の話をしているのを横で聞いていた僕に話しかけてくれた。  ほら、栞お姉様もそうだったでしょ?お店では特別扱いだけれど、何だか遠巻きにされているって感じ。僕もそうだったし、話しかけてくれたのは嬉しかったし、その後ちょくちょく話してくれて……。それでだんだん親しくなったんだけど?ほらあの建物って料亭風でしょ?あれも元はお父様の組が経営してたのが色々規制が厳しくなったんで、お金を貰ったふうを装って新装開店したってことになっているみたいで。  でも、店のスタッフにはそんなの嘘っぱちだと分かるよね?だから、お父様があの店に行ったら皆が緊張し切っているのが分かる。その中でユリさんだけが違ったかな……。『店で働かないか?』とまで言われたことが有ったよ。『売れっ子になる』とか『向いている』とか『一緒に働けたら嬉しい』とか」  いくら表沙汰にしていないとはいえ、893の関係する店だ。きな臭さしか感じないし、その当時は跡目を継ぐかも知れなかったユキに近付いておいて損はないとの打算からのような気がする。 「そうか……。ただ、ユキは二億円も持っているのだから、そういう特殊な世界ではなくてまともに大学に行った方が良い。高校中退でやんちゃをしていた同僚がよく『大学行けて言っていた親の気持ちが今になって分かった』とか言って後悔しているのを聞いている。ほら、ウチのお客様には会社経営とかしている人も居るので話に付いていけなくなるようだから。  そう言えば、明日にでも銀行に行って現金化しような?そしてユキの口座に移しておいた方が良い」  今は頭取とかの弱みまで握っている店だが、最近では週刊誌などにスクープされたりして一気に繋がりがバレることも有るらしいので、そうなれば一気に口座は凍結の憂き目に遭うし、現金化も無理になると聞いたことがあった。 「銀行の口座?でも……僕持ってないし、開設も出来ないとか聞いたことがあるよ?栞お姉さんも『完全に縁を切った』証明書って言うのかな?そういうのを銀行に提出したとか言っていたような……」  ユキの言葉にハタと気付いた。そういえば893組織の人間はクレジットカードも持てないし、銀行の口座も無理だということに。  銀行に勤めている人間にその辺りを詳しく聞いた方が良いのかも知れないなと思って、店のお客様の中に居なかったかを――こういう話はオーナーなどが詳しいかも知れないが、取り敢えず気軽に聞ける相手が良い――頭の中で手繰った。  ウチの場合は強気の価格設定だし、世間的に言う「深窓の令嬢」などが通うことは厳格なご両親からすれば絶対に反対されるらしくて来店はしない。まあ、怪しげなビジネスをしている女性はたくさん居そうだが、それでも札びらを切って遊んでくれる分には素性は問題ではない。  ただ、結婚も諦めたという感じの「細い客」には確か銀行にお勤めしているとチラッと聞いたことがある。  その女性のラインは当然知っているので聞いてみようと思った。記憶に有る限り今夜の来客の中には居なかったので、この時間にスマホを振動させるのも悪い。 「ねえ……、それって『賢者タイム』ってヤツかな?しない、の?」  ユキがむしろあどけない感じでユリから仕入れたと思しき言葉で誘って来る。 「ユキはしたいのか?それとももう休みたい?」  後ろから抱き締めて、乳首を強めに抓った。 「あっ……んん……、気持ちっ……イイっ……。もっと……し、て」  ユキの手がオレの首に縋って唇を重ねてくる。しかも足を大きく開いて腰へと押し付けてくる仕草が可憐で大胆な花のようだった。 「挿れても、大丈夫か?」  「大丈夫だよ」と答えるのは分かっていてもつい聞いてしまうのは、それだけユキの言葉も欲しがってしまっているからだろう。 「うんっ……来てっ……シンのが……欲しいっ」  ユキの身体とそして魂から求められるのがこんなに嬉しいとは思ってもいなかった。  衝動のままに強く衝いて、ユキの奥へと……感じると言っていたそれよりももっと感じさせたくて。 「ああっ……イいっ……。すごくっ…感じるっ。あっ……」  ユキの声が更に艶を帯びている。何だか一晩で開花した見事な胡蝶蘭のように。  開花した花をもっと見事に咲かせたくて啼かせたくて仕方がない、愛おしさの余りに。  その思いで一定の、そして淫らな律動を刻みたい。

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