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第119話
「ああ、イって良いぞ。
ただ、ユキの感じやすいトコってその二点だけではなかったな。
乳首も大好きだろう?だったらそっちも弄れば良い。自分で……」
手伝ってやりたい気持ちは山のように有ったが、この状態――そもそも二人で決めた行為中に呼ぶ名前すら間違っているというか、頭の中から吹っ飛んでしまっている現在のユキの様子を見る限り、下手にオレが手を出さない方が良い。
自分で慰めるという行為でこんなに感じ切っている――足の指が丸まっているのは紛れもなくヨがっているからだ。
確か新田先生は「最後まではしないでください」とかアドバイスをくれたような気がする。
それは絶対に!何が有っても守る積りでいたが「途中の手出し」について何か言っていただろうか?何だかユキの艶姿を見ているとそんな些細なことは頭から吹っ飛んでしまうくらいに扇情的過ぎた。だから新田先生の事細かな注意がオレのキャパの低い頭だと吹っ飛んでしまっている。
可憐な花のような乳首も熟す直前の紅い色に染まっているのもとても綺麗だったし。
必死で身体の奥まで指を挿れようと背中を丸めて入り口で鉤のように折った指とかその中の清楚なピンク色の柔らかい肉とかもキュート過ぎてクラクラしそうだ。
何だか天使が密かにイケナイ一人遊びをしているような奇妙な背徳感さえ覚えて背筋から脳にかけて震えが起こってしまった。
「あ、キョウさん。弄ってくれないっ……の」
涙交じりの甘くて幾分高い声が切れ切れに聞こえる。
確かに散々そこを弄ったのは他ならぬオレで、ユキは――薬物のせいで夢見心地だろうが――そういう記憶は途切れ途切れでも持っているようだった。
ただ、オレの部屋で愛し合った時には「シン」と呼んでいたし、何よりも薬は一切使っていない。
薬と言えばショーの時も催淫剤かなにかを塗りこまれていた。そのせいで感じやすい体質は持ってはいたけれどもさらに感度が上がって「ああいう」痴態を舞台の上で晒してくれた。
素人考えだが、今のユキの場合は昨日のショーと同じような――いや薬としては忌々しいことに今の方が効果は高い――状態になっていて、覚せい剤に似た薬の作用とも相俟ってもしかしたらショーに出ていると朧な頭で認識しているのかも知れないなとも思ってしまう。
現実逃避に似た感じで――そうでないとユキに手を伸ばしてしまいそうだった――そんなことを考えていると、ユキの薔薇色に染まった華奢な指――しかも前を弄っていたので水晶のような雫を宿していて、その量が多かったのでユキの指が動くたびにポトポトと床に落ちていく。
その淫らな無垢さが際立っている液体が宙を舞うことすら煌めいていてとても綺麗だったが。
「やだっ……感じすぎておかしくなっちゃう。
リョウさんの指の方がもっと良いんだけど。
でもって……お尻の穴を弄りながら乳首を転がすのって……とっても気持ちイイっ」
ユキの濡れそぼった指のせいで乳首も濡れて艶めかしく光を放っている。
それにユキの華奢な指が可憐な乳首の先端を転がしては僅かに大きくしていっている様子も絶品だった。
「転がすのも良いけど、先端部分を爪で弾いた方がもっと快感を得られると思う」
お尻の穴を大きく開いているのも、そしてその柔らかな秘められた肉を――多分昨夜オレが教えたコツで開いているのだろう。
その指と肉――正しくは筋肉だけれど――が触れる音も熱さと甘さで濡れていた。
そして乳首を弾くたびに聞こえるユキの艶っぽい声に紛れてごく小さな水音が混じって聞こえている。
一人遊びをさせるのは恋人として物凄く不甲斐ない気がするが、この際は仕様がない。
ただ、ユキの記憶からこの行為全部が消え去って欲しいと強く強く望んでしまう。
恥ずかしがりやで初心なユキにこんな一人で慰めるショーをオレだけにとはいえ開陳したのを知ったらどうなるのか分からない。
「やんっ!!イイって!!リョウさんっ!!イク、イクって。嫌だぁ」
ユキが触れていない男性の象徴がそそり立っていて、限界を訴えるようにビクンビクンと震えている。もちろんピンク色に染まった身体も全部が綺麗な金魚のように舞っているようだった。
嫌というのは女の人が「イイ」の代わりに使う例の言葉なのだろうか?それともユキはオレが挿れていないことが「嫌」なのだろうか?
まあ、本人に聞いてもそんな喘ぎ声交じりの艶やかな声で告げている言葉の意味は分からないのかも知れない。
オレは手出し出来ないので――実際はしたくてしたくて堪らなかったが――声で煽ることに専念しようと思った。
薬でぶっ飛んでいるとはいえ、オレの言葉は耳に入っているようだった。その証拠に野イチゴのような乳首を水晶が滴っている指で転がすのをやめて弾いていたし。
その弾く動作のたびに真っ赤に熟れていく乳首をやるせない思いで見てしまう。
「やんっ……もうっ……我慢出来ないっ!!イクっ、イっちゃう!!」
一際大きな声が濡れているような感じだった。
「良いぞ、イって」
オレが取って置きの言葉で唆した。
昨日から散々聞いた低い声を――もちろんソレ用の声だ――覚えていたのかユキの身体がブルリと震えた。
そして、小さな穴からプリュリと噴き出した白い蜜がとても綺麗だった。
それに逝っている最中にそんな細部までじっくり見たことは当然ない。だから淫らな清々しさに満ちた光景を思わずガン見してしまう。
出来るなら録画したいような綺麗な光景で、それが叶わないのだからせめて目や脳に焼き付けておくしかない。
オレの手とかの手練手管で逝ったわけではないのが物凄く残念だったがそれはある意味仕方ないだろう。
それに、オレが手を出したらユキの身体はまさに禁断の快楽――なんでも物凄くイイらしい――を覚えてしまうのだから、出来そうにない我慢でもしなければならない。
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