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望まぬ罰則2

「──お言葉ですが、桐生様」 一拍の間をおいて氷雨が遠慮がちに口を開いた。氷雨は昔のように話せなかった。同い年の友也に敬語を使った。 「あの頃、桐生様は僕を故意に避けていましたよね。それに僕が父について悪口を言われていても、何も助けてはくれなかった。佐野悠馬のことになると、ずいぶん態度が違うんですね」 氷雨が非難するような口ぶりで言った。悠馬は話が見えずにぽかんとしていた。友也はばつが悪そうに目をそらした。 「あの時は、本当に悪かったと思ってる。八雲とは友達だったし──だから」 「今まで親衛隊の活動を見逃してくれていたってことですか?」 続きを待たずに氷雨が言った。  氷雨の言うとおりだった。親衛隊の過激な忠告や、行きすぎた制裁にある程度目をつぶってきたのは、友也が氷雨に長く罪悪感を抱いてきたからだった。贖罪といえば聞こえはいいが、結局のところ友也の自己満足だった。 「でも、それとこれとは関係ない」 友也がデスクを両手のひらで軽く叩いた。友也の怒りをあらわすように、デスクは揺れた。 「八雲には失望したよ。もう二度と、信用することはないと思う」  悠馬は何も言えなかった。氷雨が目を見開き、真っ白な顔でぼうぜんと立ちつくしていたからだ。  何が氷雨を救えるのか、悠馬には皆目見当もつかなかった。氷雨に下された3週間の停学処分も、撤回されることはなかった。

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