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グダグダクッキング2
気を取り直すように氷雨は先ほどの鰹節を引き上げ、キッチンペーパーでこした。それから冷蔵庫を開けて煮干しの入ったコップを取り出した。味噌汁用にあらかじめ水出ししておいたのだ。牛しぐれの火を止めてコンロから鍋を避けると、そこに空の鍋をセットした。
「だしを二種類も用意してくれたんですね」
「言っておくけどお前のためだけじゃないからな。僕だって久しぶりにまともな和食が食べたくなったんだ」
「半分は俺のためって聞こえますけど」
「お前が和食を好きなわりにだしの違いがわからない可哀想な舌だと知って、哀れに思ったんだよ。それに具材の下ごしらえは主にお前がやるの。さっさとフキ茹でろよ」
悠馬は氷雨の指示には従わず、さっさと手を洗って彼の肩を抱いた。
「ふーん。俺のためって否定しないんですね。もしかして俺に惚れちゃった?」
氷雨の耳元でわざと敬語を崩してささやくと、彼は動きを止めて悠馬をきつくねめつけた。しかし氷雨の耳は赤く染まっており、眼光にはいつもの説得力を感じられなかった。
「ふざけんな」
「ふざけてません。エプロン姿でそんな可愛い反応されると俺、止められないんですけど」
「調子に、乗ん──」
反抗は悠馬の口でもって塞がれた。悠馬は鍋の火をすべて止め、氷雨のエプロンの下、シャツの中に手を突っ込んだ。
「氷雨」
「呼び捨てにするなっ……」
「シャンプーの匂いがする。シャワー浴びておいたんでしょう。そんなに俺に襲われたかったんですか」
「お前が遅かったから入ってただけ、で、変なところ触るんじゃない!」
悠馬は氷雨を煽るようにもう片方の手で彼の中心に触れた。氷雨が身をよじって抵抗を示すと、悠馬の手に力がこもった。
「俺、先輩みたいに育ち良くないんで」
そう言いながら悠馬は氷雨に身体を密着させる。
「堪え性無いんですよ」
「……っ」
そのまま悠馬は氷雨に力ずくでシンクに手をつかせ、身につけているものを剥がし、後ろからことに及んだ。氷雨のシャンプーの匂いを揶揄していた悠馬も、期待していたのか来訪前にシャワーを浴びてきていたため、彼が腰を揺らすとすっとしたメンソールの香りがした。
「お前、こんなこと、して、どうなるか」
「わかってます、よ」
「絶対殺す」
「いいですよ俺、氷雨先輩に殺されたい」
「重いんだよこのサイコパス男っ……」
「そんなサイコパスに、掘られて喜んでる先輩もっ、たいがいですね」
悠馬の挑発に、氷雨は思わず裏拳を見舞った。悠馬はそれを受けてうめき声ひとつ、嬉しそうに達したのだった。
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