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グダグダクッキング3

「エプロンぐっちゃぐちゃですね。そんなに気持ち良かったですか」 「本気で死ねクズ」 「先輩たくさん罵倒してくれるなあ。また無理矢理しようかな」 「次やったら包丁でそれ切り落としてやるからな」 「是非どうぞ。先にシャワー浴びましょうか」  氷雨は自身の体液で汚れたエプロンの端を不機嫌そうに握りしめた。ぱちぱち星が弾けるように興奮してしまったのは確かだったからだ。身体中がぞくぞくしたのはコイツの気狂いがうつったせいだろうか。  悠馬にうながされて歩こうとしたものの、氷雨は上手く動けなかった。悠馬もふらふらよろけて似たような状態だったようで、不本意ながらも二人はお互い支え合うようにして浴室へ向かった。 「じゃあここで待ってろ」 「さっき俺が言ったこと忘れたんですか?」 悠馬は氷雨の腰をホールドして笑った。 「待てとかそういうの、俺には無理なんです」 「しつけのなってない犬かよ」 「はい。だからこれからたっぷりしつけて下さい」 悠馬は申し訳程度に身につけていたお互いの衣服と自分の顔に貼っていたガーゼを取り、浴室の扉を開けて氷雨を押し込んだ。  身体の汚れを落とすつもりだったが、ボディソープの香りにいざなわれて二人はまた肌を重ねた。氷雨は声を抑えるのに必死で、悠馬はそんな彼の乱れる姿を目に焼き付けるのに必死だった。お互いくたくただったが、悠馬は氷雨をむさぼるように抱いた。 「ああ、もう、最悪……。あと味噌汁とフキ……お前がフキ茹でるの放棄したからな」 「今から茹でましょうよ」 浴室から出て着替えた二人は生きる屍の様子だったが、意地で料理を再開することにした。湯を沸かし、フキを茹で、冷やかしてから皮を剥いた。悠馬はフキに触れるのも初めてだったので、かなり手間取っていた。  その間にまた氷雨はスマートフォンを操作して手順を確認し、ぼうっとする頭を押さえながら味噌汁用に湯を沸かし、煮干しで取っただしを加えた。そこにあさつきを切って入れ、火を止めて味噌を溶かす。振り返ればまだ悠馬はフキと格闘していて、仕方なしに氷雨は彼を手伝ってやった。 「検索すれば皮のむき方くらい出るだろ」 「検索ワードがわからないんですよ。あちこち身体痛くって上手く頭回らないし。この野菜何でしたっけ」 「フキだよフキ。食べたことなくても今覚えろよ」 「あんまり興味がわかなくて」 「たぶんお前の好きな味だと思うけどな」 「……俺たち結婚してましたっけ」  至って真面目な声で悠馬が呟くと、氷雨は鋭い肘鉄砲を飛ばした。 「ざけんな。フキに集中しろ」 「肘打ちに集中しちゃいますよ」 悠馬は氷雨から攻撃を受けた自身の脇腹を、恍惚とした表情で眺めながら言った。

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