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こんなの、知らない

凄く、擽ったくて。 ゾクゾクしながらも、嬉しさが溢れ、心が満たされていく。 ──この広い世界で……樹さんと出逢えて良かった。 あの日……樹さんを見つけて、追い掛けて──気持ちを伝えられて、良かった。 人生は、些細な出来事や小さな選択の連続だというけれど……その中で、重なり合って交わらなければ、樹さんとは出会えなかったし、こうして今、一緒にいられなかったと思う。 ……だから、全ては必然で──運命に導かれたとしか思えない…… 「……実雨と出逢えて、良かった」 「──!」 額と額を合わせ、僕の顔を覗き込む樹さんの口から、僕の気持ちを代弁するかのように、同じ言葉が吐かれる。 「………うん、僕も……」 そう言って無防備に微笑めば、僕のナカにある樹さんの怒張が、ドクンッと脈動したのが解った。 「ごめん……そろそろ、動いてもいい……?」 「──、うん」 小さくこくんと頷けば、熱い息を吐く樹さんがリップ音を立てて口付けをし、大きく腰を動かし始めた。 ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ…… 最初はゆっくり…… だけど、次第に激しくなり──強い圧迫感とナカが擦れる刺激が、腹奥から脳天へと一気に突き抜ける。 「──実雨のナカ……熱くて、気持ちいい……」 樹さんの、余裕のない声。 少し汗ばんだ肌。甘い呻き。 僕を強く抱き締め、耳元で熱く囁かれれば──きゅうんと心が甘く蕩け、感覚が麻痺する程に、身体から力が抜け落ちる。 「……実雨の感じる所……ここ、だね……」 樹さんのモノが、指で確認した所を強く擦り上げる。と、途端に、離したくないとナカがきゅぅっと吸い付く。 「………ひあっ、あ……ぁああっ……、!」 ──ダメ…… こんなの…… ……こんなの、知らない…… 律動が繰り返される度──ナカがうねって戦慄き、何かが僕の中で渦巻いて……自分でもよく解らない感覚が襲う。 目の前がチカチカとすれば、身体が空気のように軽くなり……真っ白で、わたあめのような、ふわふわとしたものが僕を取り囲み、背中を柔らかく押し上げ…… 「………ぉか…し、……だめぇ……ぁ、ぁあぁ…ああ……っ、…!」 その感覚が怖くて。感覚を失った腕を必死に伸ばし、樹さんの背中にしがみつく。 「………もう、イくっ……!」 耳元で吐かれる、低い呻き。樹さんの、熱い吐息。 それに答える間もないまま、大きく激しく揺さぶられれば──頭の中がじりじりと痺れ、目の前が白一面に変わる。 ──はぁ、はぁ、はぁ…… 薄く瞼を閉じれば、縁に溜まった涙のスクリーンに、物心ついた頃から今までの出来事が、走馬灯のように駆け抜けていき── 「………あぁ…ああぁ、ぁああ、っ! ──あぁぁ……ッッ!!」

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