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過去の記憶
「俺、そんなこと言ってないから」
「いや、言った。俺を馬鹿にして笑った。そんなに人の悪口言ってて楽しいの?」
「言ってない。言うわけないだろ。安心しろよ。俺はお前が本当に大事だから」
初めは根気よく宥めてくれていたのだが、ある時我慢の限界を超えたのか、恋人は喧嘩の末に怒鳴った。
「付き合ってらんねー。頭おかしいんじゃねえの。お前と話していると、俺の頭までおかしくなる。じゃあな」
そして、呆然とする流星を置いていなくなった。その日以来、ますます幻聴や被害妄想に拍車がかかり、元恋人の声で責め立てられるようになっていった。
「もう流星は恋愛をしない方がいいんじゃない?」
その言葉は、流星に恋愛の資格がないと突き付けたのも事実だが、言われずとも分かっていた。
たとえ再び誰かと想いを通わせ合うことが叶っても、再発してしまえば、お荷物の流星を置いていくに違いないのだから。
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