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3.仮初めの距離(15)*

「先生、ちょっと腰あげて」 「あ、ああ……」  下方へと伸ばした手で先生の衣服を緩め、促すと素直に従ってくれた所作に合わせてズボンを引き抜く。  あらわになった下着の上から下腹部に手を添えると、 「――っ、……」  先生は慌てて唇を引き結んだ。 「声、そんな気にしなくても大丈夫ですよ」  その様はかえって俺を煽り、ますます劣情が抑えられなくなる。  手の中に収めた先生の熱は、思いの外反応をみせていて、布越しに小さく擦り立てただけで、早くも先端から雫を滲ませた。 「汚れるから、これも脱がすよ」  言い終える前に下着に手をかけて、先生が戸惑いの色を濃くしたのを知りながら、一気に膝下までずり下げる。そのまま足を抜かせて取り去ると、先生は恥ずかしくて堪らないみたいに片腕で顔を覆った。 「いい反応ですね……なんか新鮮」  揶揄めかして呼気だけで笑い、俺は先生の首筋に顔を寄せる。  首筋から鎖骨、鎖骨から胸元へと、唾液の線を残しながら舌で辿り、心臓の辺りに口付けると、服でちゃんと隠れる位置にささやかな痕を残した。 「先生、えろい……」  間近に見える胸の突起はすっかり芯を持ち、充血して色づいていた。 「ふ……っ、あぁ…っ……!」  舌を伸ばして、それを舐め上げる。濡れた先端に軽く歯を立てると、先生の口から殺し損ねた高い声が上がった。 (いい声――)  俺は下肢へと手を戻し、張り詰めた先生の熱を直接握り込む。続けざまに絡めた指を上下させれば、先生の腰がびくびくと震えた。先走りもたちまち量を増して、あふれ出る雫が止め処なく根元まで滴り落ちていた。

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