106 / 137

番外編.例題その1(4)*

「ぅ、…んんっ……」  舌裏を舐め上げ、上顎を擽る。何度も角度を変えて、唇を唾液で濡らしていく。  一方で指が掠めた先から、上衣のボタンを外していき、そうして全てのボタンを外し終えると、そのまま更に下へと手を伸ばした。 「……っ」  その手つきを性急と感じたのか、先生の身体が一瞬強張る。伏せられていた瞳も刹那瞠目したが、構わず俺は服の上から先生の反応を確かめた。 (良かった、ちゃんと感じてる)  俺は目元を笑みに緩ませ、一際強く先生の舌を吸い上げる。先生の屹立は既に十分昂ぶっていて、見るまでもなく布地を押し上げていた。  何か言いたげな先生の口を吐息ごと封じ込め、布越しの先端を指の腹で押さえつける。じわりと何かが滲む感触がして、びくりと先生の腰が跳ねた。 「…っな、仲矢……っちょっと、待てっ……」  振り解くように頭を振って、キスから逃れた先生が、息も絶え絶えに声を上げる。片手では俺の肩を押し返し、他方では下腹部へと伸ばされた手首を掴もうとする。  しかし、そこに込められる力はとうに半減していて、言うほどの意図には遠く及ばない。 「残念。待てません」  本音を言うと、多少意地悪したいと思っていたこともあり、俺は端的にそれだけを返した。  そして言葉通り、直後には一気に下着ごと衣服をずり下げて、今度は直にそれに触れる。先に指を這わせると、浮いていた雫に肌が滑った。  先生が咄嗟に息を呑む。反射的に閉じようと下肢が動くが、割り置いていた俺の身体がそれを許さない。 「待てはナシです。俺もう十分待ったでしょ」  それでもと、とにかく首を横に振る先生に、俺は敢えて笑顔で告げる。  抗うように肩へとかけられていた先生の手首を他方の手で優しく掴み、 「今更、って言ったの、誰でしたっけ……?」  態度に反した強い力で、シーツの上へと縫いとめた。

ともだちにシェアしよう!