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第3話
青生の様子がおかしい。
「なあ、青生」
「……」
「青生ってば!」
「あ、悪い……なに?」
最近ずっと心ここに在らずという感じで、四六時中うわの空だ。
今日だって二泊三日の出張を終えて帰ってきたというのに、おかえりの挨拶もなかった。
まともに顔を合わすのなんて、一週間ぶりくらいなのに。
「青生」
「……なに」
「具合でも悪いの?」
青生は、やっと視線を動かして俺を見た。
でもその瞳がどこか虚ろで、ドキっとする。
「なあ、佑弥」
青生が、静かに俺を呼ぶ。
いつもなら一緒にいるだけで嬉しそうにしてくれるのに、なんでだ?
俺が、なにかした……?
「俺、もう寝る」
「え、なんで?」
「今日はお前と話したくないんだよ」
そう言って、青生はのっそりと立ち上がる。
「ちょ、青生!」
止めようとした俺の手を振り切って、青生は自分の部屋にこもってしまった。
こっちを振り返りもせずに。
「なんだってんだよ、いったい……!」
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