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第15話 豪快と根暗4
「勝手に決められても困る。連れ帰られても役に立たないからさ、やめて欲しい」
「キノがお前をどう扱っていたかは知らないが、俺はモノにしたいと思った。それに、お前には帰る場所がないだろう。大人しく俺の家に来い。とことん可愛がってやろう。役に立つか立たないかは俺が決める」
「はぁ…………?何それ」
これ以上、何を言っても無駄なようだ。というか、反抗する気力が起きなかった。
キノの診療所に来る患者さんや、ルークを見ていて気付いたことがある。彼らは性別というもので人を分けたりしないのだ。
見た目が犬系なことも関係するのか、女の人は沢山子供を産む。別に子を成さなくても、周りからは何も言われない。好きな相手は男でも女でも構わない。好きな相手と、子孫を作る相手は別ものとして考えられていて、信じられないくらい個々の気持ちが尊重されている。
(俺の気持ちは全く無視かよ)
どう足掻いても元の生活に戻ることが出来ない俺は、肩を落とした。楽しかった三人の暮らしは過去の話になるのか。どこに居ても、蔑ろにされる自分に歯痒くなった。キノだけは、俺のしたいようにやらせてくれたのに。
ふと、キノに会いたくなる。シロに似た匂いが懐かしくなり思いっきり深呼吸するも、入ってくるのは甘い落ち葉の香りだった。
自分が追いかける価値のある人間ではないくらい重々分かっている。
「さて。城でキノを待つとするか。異世界からの客人に王もアオノ様も喜ぶであろう」
前触れもなくひょいと身体が浮き、トカゲへ乗せられた。この筋肉バカは扱いが雑である。
「…………うわぁっ」
「落ちるなよ。あの診療所へ近付くのは乗り気でなかったが、マナトを得ることが出来た実りある外出だった。我が主の城へ帰るぞ」
休憩を挟んだトカゲは勢いを取り戻したようで、速度を緩めることなく城へ向かった。
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