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第20話 城にて5

「大ごとにして欲しく無ければ、このまま黙って立ち去るがいい。これ以上マナトに近づくな。今後約束が守られなければ、お前は地位も名誉も失うことになるだろう」 「何を……キノごときが……潔癖のお前が異世界人を本気で相手にするとは思えないが」 「アオノ様に薬を調合していて遅くなったのだ。俺が誰を相手にするか、お前には関係ない。どう足掻いても兵士長のやることではないだろう。賢いお前ならば去る選択をすべきだと思うが、さてどうする」 「くっ……」 廊下で人の声が聞こえ、間もなく部屋がノックされた。俺が返事をしてもしなくても、ものの数分で強制的にドアが開かれるだろう。 悔しそうな表情でコニスが窓から姿を消す。 「へんたいおっさん、いなくなったぞ」 これで邪魔者はいなくなったと、キノが笑顔になった。 「マナト、おいで」 「キノ……」 会いたかった人に名前を呼ばれると、足先が甘く痺れるのは何故だろう。何ヶ月ぶりに会ったような、懐かしさと切なさが、混沌した心に染み入った。 胸いっぱいにシロに似た匂いを吸い込み、安心を得ようと必死になってキノに抱きつく。そんな俺をキノは優しく迎えてくれた。 「一先ず、服を着ようか。人が来るとまずい。お前が無事で安心したよ」 「え?あ、あわぁぁぁ、ごめんっ」 「ぱんつはこれだ。マナトは恥ずかしくないのかと思ってたぞ。毛ないし。つるつるだな」 ルークが俺の下半身を見つめているため、顔から火が出そうになった。 「あるって!!」 「ちょろっとな。おいらのほうがまだある」 「!!」 薄手のガウン一枚で後は何にも身につけていない。というかコニスに脱がされたままだった。慌てて下着を付ける。 とにかく、二人が……キノが来てくれたことが嬉しくて堪らなかった。

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