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第21話 これからの俺と未来1

 それから、次の日に三人で家へ帰り、めでたしめでたしと物語は終わる訳ではなかった。 昨晩、窓から現れたキノの姿を見た途端、旨の奥がじんわりと温かくなった。可憐な花が咲いたようなそれは、今まで感じたことがなく、俺を甘く痺れさせた。 帰り道にアオノ様の用意した乗り物に揺られて、キノの横顔を何度も盗み見る。 ピンと立った耳と、精悍な鼻筋は惚れ惚れする程格好が良い。倒れないよう、さり気なく背中に回された腕は俺よりもずっと逞しい。 たぶん……あれだ。 俺はキノのことが好きだ。 キノはシロに似た雰囲気を持っている。いつか居なくなるんじゃないかと、怖くてしょうがなかった。 でも、抑えが効かない。勝手に恐怖を乗り越え、この人の傍に置いて貰えたらとさえ思っている。大きな存在に身を委ねたら、どんなに幸せだろうか。 だけど、余計なものは胸の内にしまっておこうと静かに誓った。愛しさで溢れている俺の一方的な好意を、恐らくキノは必要としていない。俺たちは家族だから、好き以上の感情を持ってはいけない。 ルークはさっきから微動だにともせずに隣で爆睡している。寝顔から安心が滲み出ていた。 再びチラッと見上げたら、今度はキノがこちらを向いた。 「マナトはさっきから何故俺を見ている?」 「えっ、あ、あ、何でもないっ……」 トカゲよりも大きなサイみたいな動物がゆっくり荷台を引いていて、それに合わせて世界がリズミカルニに上下へ波打っていた。 「何でもない、はないだろう」 「ごめんなさい……」 不快に感じただろうと、素直に謝った。 「俺はマナトに見てもらえたら素直に嬉しいよ。今回のことで改めて自覚した。俺はマナトを大切にしたい。これからもずっとだ」 「あ、ありがと。ルークも一緒に仲良くしたいって、俺も思うよ」 「ルーク?何故ここでルークが出てくる」 キノが俺を覗き込み、怪訝そうな顔をした。 「だって、俺たちは三人でしょ」 「確かに三人でもあるが…………それとは別に、俺は邪な好意をマナトに抱いている。思いが膨れ上がって上手く隠せそうにないが……その様子じゃ寝耳に水だな」 「よこしま……?」 『よこしま』って何だろうか。

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