25 / 36

第25話その後3

キノの手がパジャマのズボンをまさぐり、俺のモノを刺激する。そうなってくると、もう止まらない。花が咲くように、俺のなかで欲望が開花する。 口から与えられた快感と下半身の快感に、蕩けそうになった。 「キノ……もっと触って……」 「ゆっくり楽しみたいが、眞人はそれどころではなさそうだ」 「…………早くっ、我慢できない……」 「分かったよ」 キノの手のひらが、先っぽを撫でる。柔かく湿った肉球がキュウキュウと、鈴口に吸い付く。刺激された鈴口からは、透明の粘液が垂れており、いやらしい水音が聞こえてきた。 「ここ、眞人の好きなとこ。人間が特に気持ちのいいところだ」 「ぁっ……うん、きもちいい……ぁ、イッちゃう……キノ……」 上がってくる射精感を上手く逃し、更なる高みをキノが誘う。 時間を掛けて楽しみたいキノとは反対に、出したくて仕方がない俺は、泣きそうになってしまう。 キノの手のひらに比べたら俺のモノなんて彼の指程度しか無い。弄ぶように、ピンポイントで刺激する。触り方が優しくてしょうがない。 「気持ちいい、っていうのを急がないで、少しづつ味わってごらん」 「そんなの、無理だよっ、むり……」 「ゆっくり、ゆっくりだよ……」 「ぁ……ぁ、ん、はぁ……ぁ……う、んんっ……ごめ、ん、でちゃう……」 吐精により弛緩した衝撃で、パジャマの上着がはらりと床へ落ちた。 このパジャマは、アオノ様から頂いたものだ。 俺と同じ人間であり、王の妃であるアオノ様には数回城へ招待してもらい、この世界について沢山教えて貰った。 濃い空気に注意すること。特に朝方は身体によくないので、スカーフ等で喉を守ること。 獣人のなかには、人間を疎ましく思っている者が少なからずいること。アオノ様が妃として迎えられてから、ますます反発が強くなったようで、俺の身を案じてくださった。 獣人はお洒落が好きなこと。でもサイズが全く合わないから、アオノ様は裁縫の得意な従者にリメイクしてもらうのだそうだ。アオノ様専用に作ってもらえばいいのに、それだと労力と費用がかかるからね、とアオノ様は女神のように微笑んだ。 アオノ様と俺は背格好が似ているので、彼の服を数着わけてもらう。流石にアデル王の好みだと分かる服は選ばなかったが、アオノ様の趣味は嫌いじゃない。どれも俺のお気に入りになった。 「ねえ、キノ。俺には子供が産めないのかな」 俺はアオノ様のように子供を宿す能力がない。実に凡人である。 「何を急に言い出すんだ。彼は特殊で、あの方と同じように考えてはいけないよ」 「キノは王医としてアオノ様を診察したんでしょう?何かきっかけとかなかった?」 「きっかけも何も、急な体質変化で、来たばっかりの頃は長いこと寝込んでいた。随分苦しんでいたよ。今も身体が強い訳ではない。眞人がそんな風になってしまったら、心配で生きるのもままらならないじゃないか。逆に今のところはその兆候が無いから安心している」 結局はキノありきの俺なので、キノを悲しませたり心配させたりしてはならないのだ。 観念した視線を送ると、キノが耳元で囁いた。 「今日はどうしようか。途中までなら挿れても構わないよ」 「え、全部挿れたい」 「それは駄目だ。眞人の身体が一番大切だ」 「途中までなら……いいの?」 「どうせ途中でも、正気のままでいられないだろうに」 「……もう。分かってる。けど、キノを感じたいんだ」 「ありがとう。俺はこうしてるだけでも眞那斗でいっぱいだよ」 愛しい人との甘い時間は、幸せ以外何ものでもない。 俺たちは、ソファへ移動した。

ともだちにシェアしよう!