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第27話その後5
「マナト、起きろーー!!」
耳を劈くような高い声に目が覚めた。
「ルーク……そんなに大きな声を出さなくてもいいよね」
「だってマナトがいつまでも寝てるからだぞ」
「ごめんってば」
背中も腰もだるい。身を起こしながら、自らの体力の無さに情けなくなる。
昨日は、挿入してから気持ちよすぎて途中で意識が飛んだ。キノの擦り方は全く強引ではない。理性をギリギリのところで保つ、中毒性のある抱き方をする。
ソファで受け入れたせいか、股関節もキシキシしていた。これでも加減されている方なので、キノには申し訳なく思っている。
思いっきり欲をぶつけてもらうことができない自分自身も不甲斐ない。
「あさごはん、あさごはんっ!!」
のろのろとベッドから這い出た俺を、ルークが後押しする。
いつもよりテンションが高いルークには訳があった。今日はこれから町へ買い物に行く。月に1回のお出かけは、ルークと俺にとって大きな行事であった。
「キノ、マナト起きたぞー」
「眞人、おはよう」
「おはよう……」
昨晩のことが頭を過る。恥ずかしくなり、思わず俯いた。
朝日が降り注ぐダイニングテーブルには、患者さんからいただいたライ麦パンと、庭で取れたハーブを使ったサラダ、暖かな野菜スープが湯気を上げている。
俺が机へつくと、朝食が始まった。口に入れすぎてキノに注意されるルークをぼんやりと眺める。いつもの光景だ。
「今日はどうやって町へ行くんだ?」
「おいら、マナトとラプトルに乗っていくのっ!!」
「眞人はそれでいい?」
「うーん……どうかな……」
お尻が痛いから、ラプトルに乗れないかもしれないとはルークに言えず、どう答えようか考えていた。キノの特別な軟膏でも、数日は違和感がある。
「ラプトル乗らなかったらどうやって行くんだよ!!おいら、歩きはやだぞ」
「うーん……」
確かに、歩きはもっと嫌である。
「そうだ。もう少ししたらリズ爺が来るんだ。リズ爺は大きな荷台を引いているから、町へ帰るついでに乗せてもらったらいい。帰りは俺が迎えに行くよ。眞人は俺の膝に乗れば大丈夫だろう」
キノは意味深に微笑むかと思いきや、いたって真面目に提案する。
「そうしようかな……」
「マナトはキノの膝に乗るの??子供みたいだな。マナトは身体が弱いから、いっぱい食べないと強くなれないぞ」
「ルークの言う通り、俺も強くなりたい」
「じゃあ、それで決まり。ご飯を食べたら準備するんだよ。買い物リストを渡すから、忘れず買ってくるように」
「はーーーーいっっっ!!」
「いい返事だ」
言われた通り、ルークは素直に食事を進める。
俺はキノの膝に乗って帰ることを想像し、1人で赤くなっていた。
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