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第4話
唯、笑ってふざけて又笑って。
村主と居る時間は不思議な位穏やかに過ぎる。
楽しくて嬉しくて、いつの間にか俺は村主に恋をしていた。
だが、そんな穏やかな時間は続かない。
村主の従姉妹の話になった時違和感を覚えた。
日野操(ひの みさお)。聞いた事がある。
確か俺が苛めたリストの中の一人だ。
可愛い笑顔が印象的で泣き顔が見たくなって苛めた。
思った通りスッゲェ可愛くてついつい繰り返し苛めてたら、何故か他の奴等も便乗して苛めだした。
他の奴等と一緒に苛めんのはつまんなかった為ターゲットを変えたけど、その後どうなったんだっけ?
次の奴を苛めんのに夢中で覚えてない。
基本俺は1人の奴しか苛めない。
次の奴が出来たら前の奴はどうでも良い。興味がなくなってしまうからだ。
どうやら日野の集団苛めはいつまでも続いたらしい。
小学校から始まったそれは中学の間も続き、精神的に病んだ日野は車道に飛び出してそのまま帰らぬ人になってしまった。
その話を聞いた時、冷や汗が流れた。
自殺の原因は俺ではない。
でも苛めの始まりは俺のせいだ。
知られたくない。
知られたら嫌われる。
今迄散々他人に嫌われる事をしてきた。
それで快感を得てきた。
だが、村主は嫌だ。
村主だけは違う。
最初は嫌悪に歪んだ顔が見たくて近付いた。
だけど、一緒に居るウチに違う顔が見たくなった。
喜ぶ顔嬉しそうな顔、穏やかな笑顔全てが綺麗で心が洗われた。
幸せな気持ちに満たされた。
だから唯々嫌われたくなくて、村主の前では良い子を演じた。
怖い、嫌われる。
顔面蒼白になった俺を心配して見詰める村主。
「ごめん。今日はもう帰る」
慌てて村主の家を飛び出した。
翌日行きにくくて、俺は村主の家に行かなかった。
次の日もその次の日も、やはり行けなかった。
今更ながら罪悪感に襲われる。
だが、どうする事も出来ない。
解決策等見当たらない。
どうしたら良いのか分からないまま時間だけが過ぎた。
逢わなくなって1週間後、村主から電話がきた。
え、俺電話番号教えたっけ?それも家の。
不思議に思ったが電話に出ると、家に来て欲しいと言われた。
逢うのが怖い。けれど逢いたい。
相反する思考に悩みながらも無意識に向かってしまった村主の家。
近く迄来てしまい、やはり引き返そう。そう踵を返した時だった。
「倭京」
名前を呼ばれた。
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