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第3話 エッチは部屋で
「悠人 」
オレの名前を呼ばれた。
誰をも従えることができそうな高圧的な声。
威圧感を人にあたえることを素でやってのけるのが、龍ヶ崎広明 だ。
「考えごとするくらい退屈なの?」
と、龍ヶ崎。
温度の感じられない低い声に、オレの体がびくついた。
首を横に振って否定した。
退屈なんかしていない。
そんな余裕なんてない。
「ふうん」
と、龍ヶ崎。
ぜんぜん納得していない顔だ。
こんなとこで機嫌をそこねたくない。
怒らすと、何を強要されるかわからないから。
「りゅ、龍ヶ崎」
「何?」
「……ここじゃ、イヤだ」
オレの胸元にある龍ヶ崎の大きな手に、自分の手をかさねる。
オレの乳首をいじっていた指がとまった。
その長くてきれいな指に、オレの指ををからめる。
動きださないように、ぎゅっと力をいれて手をつないだ。
オレは首をひねって、龍ヶ崎を仰ぎ見た。
見下ろしてくる目は不機嫌なようす。
「龍ヶ崎ぃ、部屋で、しよ?」
オレにしては、ずいぶん、控え目に、機嫌をそこわないように言った。
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