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第8話 コンドームくん、こんにちは
「もう、あらがわないの?」
耳元で、龍ヶ崎の嫌味をふくんだ低い声がした。
「嫌だって、言ってもやめないだろうが。…くんっ…」
体内にいる指に翻弄される。
「本当はして欲しくて、たまらないくせに」
龍ヶ崎は片手で、ゴムをオレのアレに器用にかぶせていく。
ゴムを使うのは、いつもオレの方。
龍ヶ崎は使わない。
ナマで中出し、ヤり放題。
そして、放置が鉄則だ。
なんで、オレにゴムを使うの?
たずねたことはないけど、オレのザーメンが汚い、てことだろう。
じかに触りたくない、てこと。
つまり、オレの吐き出すモノは汚くて嫌だけど、他人のアレをいじったり、ウンコする穴には指を入れたり、自分のアレを入れたりできる、ということだ。
オレのアレからあふれてくるカウパーをネチョネチョさわったり、唾液をズルズルすすったり、涙をペロペロ舐めたりはするのに。
精液はアウトで、他はたいていセーフ。
て、どういうこと?
龍ヶ崎のできること、できないことの線引きが、どうもオレには理解出来ない。
確実にオレを追い込んでくる指が、恨めしい。
せめたてる2本に増やされた指が絶妙に動いて。
変な声がもれるのが、たまらなく嫌で。
口元をぎゅっと閉じて、快感をやり過ごす。
ふんふんと鼻をならすオレは、かなり、キモい。
鼻息が荒くなっても、変態っぽくなっても、口呼吸はしない。
口を開けてしまえば、ヤバい声がでてしまうからだ。
「強情で意地っ張りなところがかわいい時もあるけど」
ウザい、と龍ヶ崎は言い放った。
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