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第15話 芙蓉学園高等部生徒寮の高級レストランみたいな大食堂で食事中です

「桜井~、ここ、いい?」 桜井悠人(さくらい ゆうと)。 いまさらだが、これがオレのフルネームだ。 生徒寮の大食堂で夕食を食べていると、声をかけられた。 「あぁ。今日は早いな」 野間明史(のま あきふみ)に、箸を止めて返事をした。 日焼けした傷んだ茶色の短髪、気合いの入った眉、日焼けしたガッシリ体型のワイルドなラガーマンだ。 クラスメイトで友達。 オレは4月生まれだから、3月生まれの野間より、1年近く年上。 なのに、お兄ちゃんのオレよりかなり背が高い。 大台の180センチまであと5センチ、欲しいよ。 そんで今は、6月の頭。 「やっちゃん(ラグビー部顧問)、今日デートだから、速攻であがりやがった」 野間はオレの前の席に座ると、注文用タブレットでメニューを確認し、注文した。 「最近、そればっかりだな?」 オレの夕御飯を見ての、野間の指摘だ。 うな重、肝吸い。 「夏バテ予防」 と、オレ。 「ふうん、まだ梅雨にもなってねぇのに?」 じっとりと見返してきた。 「おまえさぁ、朝も夜も一人飯多いし。俺はさみしいよぉ」 と、野間。 倦怠期の夫婦みたいで、いいじゃん。 ていうか、オレら夫婦じゃないけど。 「予約してくれたら、ご一緒してもよろしくてよ?」 おネェ言葉で話したら、 「女の子になるのは、ベッドの中だけにしなよ、マイハニー」 声のトーンを変えて言いやがるから、周りで食事中の生徒が、騒ぎだした。 ニヤニヤしている男前の足を、テーブルの下で蹴ってやる。 「痛っ!」 「守備範囲外だけど、友達割引きで抱いてやるよ、マイハニー」 オレらの周辺で、悲鳴というか奇声がわいた。

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