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第16話 芙蓉学園の生徒会って

「おまえのせいで、やかましくて、仕方ねえよ」 と、野間。 オレに吹きかけるくらい勢いのあるため息をついた。 だって仕掛けて来たのは野間の方だし。 ノリで受けてたっただけじゃんか。 ウェイターが給仕してくれたステーキを、野間はナイフで切り分けて、口にはこんでいく。 がたいがよいのに、食事の所作が美しい。 代々官僚家系。 気さくでおおらかだけど、きっと法学部とかいくんだよねぇ。 なんか外見とのギャップがすごいけど。 「やだなー。俺ら、明日には熱々カップルじゃん」 と、野間。 「……熱いのは、野間のおかずだよ」 「そんじゃあ、俺の熱々な気持ちをおまえにあげるよ」 フォークに刺した肉を、オレの口元に差し出してきた。 おまえの熱々の気持ちは、肉汁たっぶりのお肉か。 オレはパクっと口に入れた。 「おいしい」 口元が自然とほころんだ。 外野が、ますます騒がしくなっていく。 だけど、近辺だけじゃない。 食堂の入り口の方が半端なく、うるさい。 毎度のばか騒ぎ。 生徒会役員の面々が、何人かそろって食事をしにやってきたからだ。 1人で来たら、こんなにも騒がれないのに。 集団で行動すれば、相乗効果が増すばかり。 彼らだってわかってるくせに。 あえてやるあたり、わざと、ねらってるとしか思えない。 『自分達は特別』 どうしても、そう主張したい集団。 崇高視よりも、アイドル化しているのが昨今の傾向。 それが、芙蓉学園高等部生徒会だ。 何代にも、わたってつちかってきた伝統は、悪い意味でも引き継がれている。

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