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第41話 このへんまでは覚えている(2ヶ月前、21)
龍ヶ崎はコンドームの箱の中から、ひとつをとりだし、袋を開けた。
ゴムのジェルを指にからめている。
「……それ、どうするの?」
オレは龍ヶ崎の巨根から、ぱっと手を離した。
「さわられるだけじゃ感じないから」
オレはずるずると後ずさった。
「…龍ヶさ、きっ!」
龍ヶ崎に肩を押されて、うつ伏せにされた。
「なにっ?」
「そのまんま、寝っころがっててよ」
枕を腰の下に入れられ、自然と、お尻をつきだした体勢になってしまった。
……この格好、そうとうにヤバい。
びくっと、オレの体がはねた。
予想通り、臀部を龍ヶ崎の長い指先がはっていく。
「やっ…」
シーツに両手をついた。
体をねじって逃げようとしたら、龍ヶ崎に両膝裏にのられてしまった。
「ぐっ!」
どこにのってんだよっ。
重いし、痛い。
上体があがったままの胸を、ジェル付きの指でねちゃりとさわられた。
「いやぁ……」
高い声が出た。
自分の声じゃないみたい。
ぐっと歯をくいしばった。
龍ヶ崎の手を外そうと、その手をつかむが、力が入らない。
オレの掌をそえた龍ヶ崎の手は、
オレの芯をもった乳首を、つぶし、つまみ、ひっぱり、
「うん″ん″んっ」
爪をたてた。
背筋がゾクゾクっとした。
あきらかに性的快感だ。
乳首で感じたりしなかったのに。
此花先輩以外にイタズラするような子もいなかったし、自分でいじる趣味もなかったからね。
オレは上体をたおして、シーツに胸をつけて、龍ヶ崎にさわられないようにした。
なのに、龍ヶ崎がおおいかぶさってきた。
手は胸から固定されたままで。
「やだぁ……」
ねちっこく、なぶり続けてきて。
なかなかやめてくれない。
両手で胸をいじりだした。
「……はっ、あぁん…ぅん」
すべりの悪い手でさわられているほうが、
「痛いっ」
「気持ちよさそうなのに?」
龍ヶ崎に耳元でささやかれた。
低い声に、ぞわっとした。
「よく、ないっ」
「じゃあ、もっともっと感じてみようか」
疑問系じゃなくて、断定された。
「……りゅう…崎ぃ…もう、やだぁ」
ずっとずっと胸ばかりをなぶられた。
乳首がいじられすぎて、ひりひりする。
痛くて、嫌なのに、甘い息がもれるほどに、気持ちがよくて。
背中に密着されている龍ヶ崎の重みなんか、すぐに、どうでもよくなった。
太ももにあたる龍ヶ崎の欲のかたまりに、興奮しているのは、自分だけじゃない。
確信して、安心する。
そんなことを思ったことに、疑問をもつことすらしない。
自分の感覚がおかしくなっていることに、オレは気付かなかった。
たぶん、
龍ヶ崎は、薬を抜くことに専念してくれたんだと思う。
けっして、
オレをいたぶって、楽しんでいたわけじゃないと思う。
そのあとの記憶はさだかではない。
オレはかなりの醜態をさらしたようだが、はっきりと覚えていない。
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