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日置くんはコスってほしい5
へたり込んでいる日置の手が、ものすごく控えめにオレのスカートへと伸びた。
どういうつもりだ?
様子をみていたら、控えめなまま膝上あたりをなで始めた。
日置もオレの様子を伺っているようだ。
「何やってんだよ。何もしないって言ったばかりだろ」
「そうだけど、その…」
「『その』なに…?」
言い淀んでいたけど、意を決したようにオレの膝に顔をよせて、チュ…とキスをしてきた。
日置が潤んだ瞳でオレを見上げる。
「お…襲い返されるなら、襲い返されても、いい…」
羞恥に頬を染めながら、膝にすり寄ってこんな事を言う日置にクラッときた。
……あ…ヤバい…。
まるで肉食獣にその身を投げ出すような健気な様子に、股間がちょっと反応し始めてしまった。
さっきまでイケメン丸出しだったくせに、急にこんなエロカワイイ健気系とかズルくないか?
頭でそんな事を考えながら、感情は完全にこの場の空気感に流されてしまっている。
「だったら、オレをその気にさせてみなよ」
髪に指を絡ませながら日置の頭をなでる。
日置は床に座ったままオレの足にぎゅっと抱きついて、切なげに眉根を寄せた。
そしてゆるゆるとオレの太ももをなでる。
オレの反応を確認するようにちらちらと視線を寄越しながら、ゆっくりとスカートで覆われた股間部分に頬をよせた。
少し頬ずりをして、またオレの反応を確認する。
オレのモノはちょっと芯を持った程度で、日置ほどは反応していない。
日置の手は、さっきからオレの太ももを行ったり来たり。
けど、それ以上は何もしてこない。
ふれてみたら、スカート履いててもやっぱり男なんだって実感したのか?
「サツマ、やっぱり男は無理…って思ってるんだろ?」
「…へ?あ…俺…気持ち悪い?俺にさわられるの、やっぱイヤ?」
潤んだ目で日置がちぐはぐな返事を返して来た。
息がハァハァと上がってる。
そして何度も自分の唇を舐めたらしく、濡れてぽってり赤くなっていた。
ヤバ…。
サカった日置がスゲェ色っぽい。
「サツマ、今どうしたいのか教えてよ」
頬を撫でながら言ったら、日置が目をそらした。
「……言えよ。素直に言ったら、ソレ叶えてやるから」
「あ…そ、その…、イブちゃんに恋してるのは本当だけど、俺、男のイブちゃんでも、その…大丈夫か確認したいです」
「なんだそれ。どうやって確認するの?それに、無理だったらどうするんだよ」
ちょっと不機嫌な声を出したら、日置が焦った。
「あ、ちが、ゴメン。確認なんてウソだ。ホントは、その…イブちゃんにさわりたい」
そう言って、日置がまた股間に頬を寄せた。
「最初っから素直に言えばさわらせてあげたのに」
なんて、まるで最初からその気があったみたいに、テキトーな返事をする。
「え…ごめん。さわりたい。さわらせて!」
オレ男だぞ?…なんでこんなトコさわりたいのか意味がわかんねぇ。
けど、減るもんでもないしな。
「手でさわるだけ?」
「うん、手で!」
「さっきから唇ペロペロ舐めてるのはなんで?」
オレの質問に日置はぐっと息を詰めると、それからはぁっと深い息を吐いた。
「…それは…だから…イブちゃんを…その、く、口でも確認…」
「確認って何?」
「ゴメン…だから…その…ああもうっ。その、舐めたい。しゃぶりたい。俺の口でイブちゃんを気持ちよくさせたい。俺のことちょっとでもいいなって思ってほしい。……っていうか、ああ、もうソレも表向きだ。とにかく、舐めたい」
さっきまで遠慮気味にオレの足にさわってたのに、オレの顔を見ながら『舐めたい舐めたい』って言ってたら、その遠慮なんか忘れてしまったようだ。
今は躊躇なくスカートの中に手を突っ込んで、肌の感触を味わうようにねっとりと太ももをなで回している。
日置の熱い手に、ゾクリ、ゾクリとさせられる。
「あ…イブちゃん。ちょっと、大っきくなってくれてる…」
確認をするようにスカートの上からオレの股間にほおずり。
次第に存在感を増していくオレのモノに、日置がスカートの上から唇を押し当てはじめた。
う…。その感触もさることながら、いつも偉そうな日置が膝まづいてオレの股間を愛しそうにスリスリしてるとか…ビジュアルインパクトがスゴイ。
唇でハムハムして…コイツ、やっぱ本気でオレのをしゃぶりたいって思ってんのか。
しかし…これは…さすがに。
「サツマ、そこまでだよ」
「え…」
ショックを隠しきれないウルウルの目でオレを見上げる。
「バスに戻る時間を考えたら、そろそろクールダウンしないと」
「あ…でも、イブちゃんをその気にさせたら…その…。それに素直に言ったらさせてくれるって…」
オレの股間から顔を離さずに日置がごねる。
「素直に言わなかっただろ?それに、その気にさせるのが遅過ぎだ。バスの集合時間に遅れるわけにはいかないんだから」
「そ…だね……」
ああ…気持ちいいくらい日置が落ち込んでいる。
今オレは、オレの一言で浮き沈みする日置がかわいくてしょうがない。
だからわざと、がっかりさせるような事を言ってしまった。
もうバスに戻る準備を始めなきゃいけない時間だっていうのは本当だけど、このまま終わりじゃオレも悶々としてツライ。
「次の撮影ポイントで最後だし、昼食と撮影時間が一緒になってるから結構時間も取れるよね」
「え…」
「次の場所でサツマがオレをその気にさせることができたら、しゃぶらせてあげる」
「ほ…んと?イブちゃん」
「タイムアップにならないように気をつけて。それから場所も。ここは誰か入って来るんじゃないかって冷や冷やした。こんなとこじゃその気になってもしゃぶらせてあげられないよ」
言われて初めて気がついたように日置がキョロキョロと周りを確認した。
廃屋だからな。入り口のドアが何かのはずみで開かなくなってしまわないよう、完全に閉じないための細工がされてる。
メインの撮影ポイントはここから少し離れた工場部分やムードのある古めかしい倉庫の方だとはいえ、他の参加者が入ってこなかったのは、ホントにラッキーとしか言いようがない。
「イブちゃんゴメン。俺、夢中になりすぎて…。次は気をつけるし頑張るから…その…」
「しゃぶるだけだぞ?最後まで…とか、駄目だからな?」
今度は喜びに目をキラキラさせて、日置が大きく頷いた。
ああ…気持ちがいいくらいに日置がチョロい。
しゃぶるだけとか、何が嬉しいんだろう。
ただオレが気持ちよくなるだけなのに。
アレか…?『おっぱい揉みてぇ!』とかいうのと同じ感覚?
イブが魔法学校の生徒のキャラだからって、その服着てる男のチンコまでしゃぶれるようになれるなんて、日置…魔法にかかりすぎだ。
けど日置のそんな意外なユルさも、今は可愛く感じる。
バスに戻る前に、またあの女の子たちがトイレ前にたまってるのを見かけた。
オレは日置をバスに戻らせて、今度は自分から女の子たちに声をかけた。
「あのさ、サツマに聞いたけど、サツマはエンコくんとかいう子のこと、あんま得意じゃないみたいだよ」
「えっ!? なに、本人に聞いたの!?」
「マズかった?」
「普通、聞かないでしょ!」
いや聞くだろ。
「サツマはソレ言ったのミランちゃんだろって言ってたけど…」
そう言ったら、女の子たちがさらにきゃあきゃあと騒ぎ始めた。
「やだ、もう、バレバレ!」
「そりゃバレるでしょ、あれだけ二人のこときゃあきゃあ言ってたんだもん!」
オレのことなんかそっちのけだ。
「とりあえず、サツマはエンコくんは苦手みたいだから、他の子で妄想してあげて」
「えー、何よそれ、あの二人以上のカプなんているわけないでしょう?」
「でも、ワタシ、グリフォンもいいかなって思ってた!」
「出た、邪道好き!」
「どこが邪道よ。邪道も突き詰めれば正道なんだから!」
また女子だけで騒ぎ始めた。
とりあえず、これでサツマとエンコくんのカップルは解消されたから、オレがサツマと仲良くしてても睨まれることはないだろう。
オレはトイレに行って……ふと気付いて、ハンドタオルを濡らして個室に入り、まあ、念のため?自分のモノをキュキュッと拭いた。
ハンドソープでそのタオルを洗ってる間『ああ、ヤバイ。オレ、スゲエ期待しちゃってる…』なんて今さらながら自覚してしまった。
バスに戻ると、ちょっと照れたような笑顔で日置が迎えてくれる。
……あっれー。
マジヤバい。
日置がちょっとかわいい。
てか、そんなに恋する乙女度を上げてると、すぐあの女の子たちの妄想の餌食になっちゃうぞ。
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