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日置くんはスキだらけ13[閑話]日置くんはマンガの世界に迷い込む
夕涼みイベントの日、俺はバイト中に酔いつぶれてしまった。
やっぱり焼酎がいけなかった。苦手だと思うと、より酔いやすくなってしまうのは何故なんだろう。
ラブちゃんにからんだ挙句、スタッフルームで寝かされるだなんて。
俺は、またラブちゃんの前で失態を演じてしまった。
目を覚ますと、浴衣をはだけ半裸のラブちゃんが立っていた。
着替えようとしているのか、ロッカーに手を伸ばすラブちゃんを、気づくと俺はぎゅっと抱きしめて……。
まだ、かなり酔いがまわっていたんだ。
だから、そんな大胆な事もあっさりできてしまった。
そして、それからどうしてそうなったのか……。
はっと気付けば、俺はラブちゃんにのっかられて、ふれられて。
脳裏をよぎったのは、俺に最初にコスプレ写真の撮影を頼んできた、高校からの友人の川内 の描いていたテンプレ過ぎるド下手な萌えエロマンガだ。
『目が覚めると、天使のようにかわいい子が上に乗っかって、キモチイイ?と聞いてくる』
そんな状況、あるわけないだろ。
俺がずっと小バカにしていた、超ありがちシーンが、今、現実に……。
記憶が所々飛んでいるので、ラブちゃんがなんでそんな大サービスをしてくれたのか、よくわからない。
しかし、この状況は……。
俺の身体にチロチロと赤い舌を這わすラブちゃんの顔がエロくて、可愛くて。
チュってして、ぺろっとして、チロっと上目遣いで俺を見て、ニコッと笑って……。
マンガの世界にしかいないはずの、ちょっぴりエッチな処女天使が降臨してしまいました。
あふぁぁ…………。
記憶を映像として録画できる技術があれば良いのに。
「日置……気持ちいい?」
俺を気持ちよくさせてくれようとしてる、ラブちゃんのイタズラな表情だけで、どんどん興奮が増してしまう。
キスをしたらラブちゃんに、言葉を発さず『酒臭い』と言われてしまった。
にもかかわらず、もう一度キスをねだれば「一回でいいの?」なんて、俺の目を覗き込んで、ちょっと首をかしげる。
いっそ凶悪なまでに愛らしい。
ラブちゃんのキスが、ほぼ保てていなかった俺の理性を、さらに壊して、溶かして、どろどろと流していく。
浴衣を引っ掛けてるだけという、ラブちゃんの格好もエロすぎる。
視界の端にチラチラと入り込む、むき出しの生足にさわりたくてたまらない。
なのに何故か、俺の腕は浴衣の袖が背後でからまっているせいで、抜けなくなっていた。
手が出せないかわりに足をからめた。けど、やっぱり艶かしい太ももをなでたくてたまらない。
「オレに負けないくらい色っぽい姿、見せてよ。ガマンしないで、キモチ良く乱れて?」
処女天使がオレの胸にすがりついて、エッチで可愛い事を言う。
でもそんなの無理だ。ラブちゃんより色っぽい姿になんてなれるはずがない。
引っ掛けただけの浴衣から、ラブちゃんの可愛らしい乳首がちょっとだけ見えている。
おヘソも可愛い。
ラ、ラブちゃんのお股も少し反応してるっ。
ラブちゃんの……ソコ……。
さわりたい……さわりたい。
またラブちゃんが上目遣いで俺を見ながら、乳首に舌を這わす。
目が無邪気で楽しそうなのが、逆にエロい。
ヌメヌメとラブちゃんの舌が這うたび、胸に何とも言えない疼きが走り出した。
ちゅぱ……と音を立てて吸われると、その音だけでびくんと身体が勝手に跳ねる。
くすぐったいのに、ビクビクとするような刺激があって、混乱する。
キモチイイ……?
ラブちゃんが何度も聞いてくる。
気持ちいいよ、ラブちゃん。
けど、なんかさっきまでと違うんだ。
変なカンジなんだ。
我慢できないよ。
ああ……そんなに可愛く「キモチいい?」なんて聞かれたら、頭がおかしくなって、みっともない姿をさらしてしまいそうだ。
「ん…あんん……」
詰めた息を吐いてるだけなのに、甘えた声が出て恥ずかしい。
みっともないって思われないかな。
でも、ラブちゃんの胸に甘えたい……。
「気持ちいいって言え」って、ダメだよ、無理だ。
こんなおかしくなりそうなのに、そんなこと言ったら我を忘れてラブちゃんに甘えて、ダメだって言われても止まれずに、イヤラしい事をしてしまいそうだ。
腰を撫で上げられ、甘噛みされて、湧き上がる快感に息が乱れる。
「ぁ…くぁんっ……」
あ……まずい。変な声が……。
こんな声……お願いだ、ラブちゃん、ドン引きしないでくれ。
せめてもう少し声が可愛ければと思うけど、この顔で可愛い声だなんて、それはそれで気持ちが悪い。
ラブちゃんの熱い手で腰をなで上げられると……ああ……もう…頭がおかしくなる。
身体が踊るようにうねるのを止められない。
ラブちゃんの足に自分の足を絡ませ、擦り付ける。
ラブちゃんの足……張りがあって気持ちイイ……。んはぁぁぁ。
ラブちゃんの身体にふれるところ全てが熱くなる。
こんなに体のどこでも気持ちよくなれるだなんてこと知らなかった……。
そのうちに、ラブちゃんがなんと、俺のモノに手を伸ばしてきた。
コレはっっっ!念願の『ご褒美』がっ……貰える???
クワッと脳に血が巡った。
ふれそうな気配だけで、ソコにビンビンと快感が走る。
けど、だめだ……。
とっさに俺はラブちゃんの手から逃げていた。
さわって欲しい。もう本当にさわって欲しかった。
でも、あの状態でラブちゃんにさわられたら、間違いなく三コスリ半ももたなかっただろう。
早漏認定コースに一発合格間違いなし。
念願の、ほんとうに念願のラブちゃんのご褒美なのに、ほんの数秒で終了なんて、そんなの悲し過ぎるじゃないか!!!
『下準備』は必須だ。
本当にあぶなかった……。
ラブちゃんに、スタッフルームだからコレ以上はマズイだろうという、もっともらしい理由を告げて、ネクストチャンスを貰った。
とりあえず俺の『やる気』はトイレに捨ててきたが、そのあとラブちゃんに「戻ってくるの、ずいぶん早かったな」と言われただけで、うっすらダメージを受けた。
もし本当にラブちゃんに「日置、早っっ!」なんて言われて、サッと手を拭かれたりしたら、俺はきっと勃ち直れない。
ゆえにやっぱり『下準備』は必須だ。
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