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日置くんはスキだらけ20[終話2]日置くんは首四の字固めにときめく
翌日、大学でラブちゃんを見かけた。
ゆとりのある白いハーフパンツからのぞく、張りのある膝裏のふくらみが、パンツの白よりまぶしかった。
光に吸い寄せられる蛾のように、フラフラと近づいていってしまう自分が情けない。
ラブちゃんは俺に気付くと、ピロピロと手を振って呼び、空いている小教室に入っていった。
何も考えられず、誘われるままについていく。
昨日の今日で気まずくて仕方がないけど、ラブちゃんからお誘いなんて初めてだし、誘いに乗らないなんてありえない。
定員40名の小教室には、横長のテーブルと四人一続きのベンチ式の椅子が二列ずつ並んでいる。
奥の席にラブちゃんが座った。
そしてパンパンと座面を叩いて俺に隣に座るよう促す。
「何で昨日オレを置いてったんだ?」
冗談っぽくラブちゃんが俺を責めた。
「それは……」
言いかけた俺の膝の上に、靴を脱いだラブちゃんが向かい合わせにまたがってきた。
椅子の上に足を乗せ、両手を俺の肩に置く。
これは……。
『対面座位じゃねぇか……』
バスツアーでのラブちゃんのセリフが蘇る。
ヤバい。
これは……ヤバい。
授業がなければこんな利用頻度の低い教室に誰か入ってくることはまず考えられない。
けど入り口に鍵もかけていないのに、膝の上にラブちゃんがまたがっているなんて……ヤバい。
温もりもヤバい。
膝にかかる重みがヤバい。
ラブちゃんの匂いもヤバい。
息がかかる距離は……本当にヤバい。
短めのハーフパンツの裾からほんの少しだけ太ももがチラ見え……いや、見えそうで見えない。
でも、膝小僧がかわいい。かわいい。かわいい……。
「おーい、聞いてる?」
ラブちゃんがちょっと首を傾げる。
はふ……。かわいい。
「日置?」
「はい」
ラブちゃんの腰に腕、まわしていいかな。
というか、これはキスできる距離だ。
もしこのまま俺がラブちゃんの膝に手を置いて、くっと外側に押したら、太ももがカパっと……開いて。はぁ……ふ。
「え?ちょっと勃 ってきてね?」
「す、座ってる」
……ラブちゃんが、俺の足の上に。
「ま、いいや、元気なことは良いことだ。昨日オレのこと置いて勝手に先に帰っただろ?」
「ん……うん……」
夏だからラブちゃんの服が汗でかすかに湿り気を帯びてる。
こんなのも写真じゃ感じられない。はぁ生身……ってイイ。
「日置、聞いてる?何で先に帰ったんだ?てかお前、オレのこと好きなんじゃないの?置いて帰るとかひどくね?」
「え……う……ごめ……」
ああ……ラブちゃんが、俺の身体を両足ではさんでギュギュ……って……。また、ギュ……って……ああ。
『聞いてる?』なんて言いながら、ラブちゃんにそんなことされたら……。
「もう。ずっと足さわってばっかり。全然聞いてねぇ」
「え?さわってた?ゴメン。つい」
ああ、そうだ……昨夜ラブちゃんは俺に『惚れさせてみろ』って条件を出して来た。
ってことは、これはもしかしてそのチャンスをくれてるってことなんだろうか。
「ゴメンとか言いながら、やっぱさわってるし。何考えてんの」
何考えて……?
そりゃ……。
「ラブちゃんの足にギュッギュされて嬉しいなとか、膝がかわいいな……とか。内モモにさわりたいなとか。ふくらはぎに頬ずりしたいなとか……。はふ……。ひざにチュ……だけさせてくれないかな……」
「頭ん中エロいコトしかねーのかよ。悩みはどこ行ったわけ?心配して損した」
呆れ顔のラブちゃんの言葉はちゃんと聞こえてはいたけれど、その動きから目が離せない。
ラブちゃんがイタズラな表情を浮かべたと思ったら、背後のテーブルにお尻を移し、俺の肩に片方の足首を乗っけた。
え……え…………ええええ????
なんだ、このアングル。
真っすぐ俺に向かってラブちゃんの……ラブちゃんの足がっっっ。
間近でラブちゃんに見下ろされて……俺の視界全てがラブちゃんで埋め尽くされてる。
「今日さ、バイト終わりに迎えに来てくれるんだろ?」
「う?……うん??」
この足は……俺がふくらはぎに、ほおずりしたいって言ったから……??
……していいのかな?
「じゃ、お前んちで飲まね?」
「う……うぁ」
ラ、ラブちゃんのほうから、足を寄せてきてくれた……こ、これはっ。
はふ……いい手触りだ……ふ……ふぁ……ちょっと持ち上げて……頬ずり……あふ……はぁああああああ……。
「聞いてる?」
「うん……すごい効 いてる……」
もう、脳みそ直撃だ。
ちゅ……ちゅう……して……いい……かな?
そっと唇を触れさせてみても嫌がらない。
じゃ、じゃぁ……チュッ。
あふっっ……もっかい……チュッ。……チュ……。
「こら、痕 がつく」
「は……ごめん……なさい」
「もっと、そっと」
は……はううううううっ!!
ああ……ラブちゃん。なんてエロかわいいんだ。
そっと……唇を這わすようにキス。……ああ、こんな風にしたら……。
「んっ!こらっ」
ガマンできずにぺろりと舐めてしまった。
ラブちゃんが一瞬ピクンと足を引いた。けど、逃げない。
「舐めるのもダメ。くすぐったい」
「はい」
はぁ……くすぐったがって顔をしかめる、その表情がエロ過ぎる。
「日置、本当に悩みって……もういいのか?」
「え……?『いいのか?』……って……言って、いいの?」
「やっぱなんかあるんだ。言えよ、はっきりと」
はっきりと……言って……いいのかな。
こんなとこで。
でも、ラブちゃんが言えって言ってるんだから……。
「じゃ……その……ほ、ほんの少しでいいんで、ハーフパンツたくし上げて……内モモも舐めさせてくださいっ!」
意を決して言った俺に、ラブちゃんの目が冷たい……。
え……。なんで?
さっきからずっと思い切って言うべきか、いくら何でも大胆過ぎるか……ってすごく悩んでたのに。
「…………日置、お前、マジでバカだろ……?」
ふぅぅ……と、ラブちゃんがため息をついた。
あ……やっぱり、大胆過ぎたか。
う……呆れられてる。
けどラブちゃんはちょっとイタズラに眉をしかめたと思ったら、ハーフパンツの裾を少し引き上げてくれた。
「ちょっとだけだぞ?くすぐったくするのは、ダメだからな?」
おおおお……。
柔らかな内モモが俺の前にさされた。
なんて神々しさだ。
フラフラと吸い寄せられ、まずはその柔らかな象牙の肌にチュ……っとキスをした。
ああ……我が人生に悔いなし……。
あ、いや、ラブちゃんのために用意した部屋着を着てもらわないといけないんだった。
ライトブルーとライムグリーンのボーダーのパーカーとショートパンツで、ポケット部分が水玉なんだ。
絶対に似合う。
あれを着た姿を見るまでは、死ぬわけにはいかない。
……あれ?
そういえば、さっきラブちゃん、バイトに迎えに行っていいって……。
……あれ?
ウチで……飲むって……言ってたよな??
「んんっ……日置、鼻息がくすぐったい」
はぁっ。色っぽい声。
頰ずりしながら、チュ、チュとキスをすると、時々ピクンと足を震わせる。
こんなとこで、こんなこと……ダメだって思うのに止まらない。
イベントの夜もこうしてラブちゃんの足にさわりたかった。
そう思った途端、ラブちゃんに与えられた快感が体に蘇る。
あふ……身体が熱い。
さっきまでとは少し違うドキドキが……。
はぁ……ラブちゃんの足にキスしながら、あんな風にラブちゃんにさわられたら、俺はそれだけでイッてしまうかもしれない。
「ラブちゃん……はふ……」
顔を見ただけで胸がいっぱいになって、ふれればこんなに身も心も熱くなるなんて、本当に初めてなんだ。
会った分だけ好きになって、話した分だけ魅了される。
ダメだ……惚れさせてみろって言われてるのに、俺の方がどんどんラブちゃんにハマっていく。
せめて今日これから夕方までの間だけでも、ラブちゃんの好みを調べ上げて、少しでも俺を好きになってもらえるように頑張ろう。
「ところで……んっ……オレが前からずっと聞いてる『言わなきゃいけないこと』思い出した?それとも、もうあの約束は無かったことになっちゃってるワケ?」
「え……言わなきゃいけないこと?……ええっと……。ラブちゃんの、ふ……太モモ……美味しいです」
「…………ああああもう、お前、マジ最低」
その言葉にガコンっとヘコみかけたけど、きっとそれはツンデレだったんだろう。
だって最低だなんて言いながら、ラブちゃんが両足で……。
両の膝や太モモを…………。
……俺の首にキュっとからめてくれるとか……。
ああ……。
パラダイス。
人は何のために生きるのか……惑 う数多 の人の列から、俺は、今、抜け出した気分だ。
断言できる。
俺はラブちゃんに出会うために生まれてきたんだ……。
……もう少し厳密に言うなら、ラブちゃんの愛らしさを知り、下半身周辺の素晴らしさを魂に刻むために生まれて来たに違いない。
はぁぁぁ……。
悩ましいのに、悩みを全て吹き飛ばす、なんて素晴らしい太モモなんだ。
はうーーっ。
「ラブちゃん好き……。大好きっ!」
「はいはい」
うっ……やっぱ俺の扱いは、軽いんですね……。
吹き飛ばした悩みが、あっさり帰ってきてしまった。
……ところで、ラブちゃん……。
首……絞まってる。
本当に天国に行くことになりそうです……うっ、ギブ!ギブ!
ああ、力を緩めるだけでいいから……。
俺から離れていかないで。
本気で俺を好きになってよ、ねぇ、ラブちゃん。
《2章-終》
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