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日置くんはカマって欲しい?7/日置くんはジェントルマンに別れを告げる

『オレがキスしたくなるよう、その気にさせてよ』 ラブちゃんの無茶振りに俺は頭が真っ白だ。 目の前には『エッチな天使モード』の愛らしいラブちゃんの顔。 ちょっと顔を上げればすぐその唇にふれられる。 なのに俺にはその唇が遠く感じられた。 ◇ ラブちゃんとキャンプ。 遠足に浮かれる小学生のようにドキドキしながら準備をした。 今まで準備不足で泣き続けてきたので、確認も充分にした。 ラブちゃんに『日置カッコいい♡』と思ってもらえるように、出迎え、キャンプ場までの道中、昼食、ずっとジェントルマンを心がけ行動した。 けれど女性ウケが良かった行動をなぞってみても、ラブちゃんにはイマイチ通用しない。 いや、むしろちょっと引かれていた気さえする。 そして俺はラブちゃんと一緒にドライブしているだけで楽しくて幸せで、キャンプ場に着く頃にはもう、カッコつけるのなんかほとんど忘れてしまっていた。 さらにラブちゃんの高校生みたいなキュートな水着姿がダメ押しとなって、もう一挙手一投足にドキドキキュンキュンムラムラ。俺の中のジェントルマンは早々にイギリスへと帰ってしまった。 俺の持って来た花柄インナーパンツは穿いてもらえなかったが、ラブちゃんが穿く想定だったものを自分で穿いただけでかなり興奮した。 女性の使用済下着で喜ぶ奴の心情が少しだけわかった気がする。 でも花柄インナーパンツはラブちゃんの使用済みではないのだから、俺はまだ大丈夫だ。 いや、何が大丈夫なのかよくわからないけど。 それにしても川というのは素晴らしい。 水に濡れたラブちゃんは無邪気な愛らしさと妖艶なエロスを交互に見せていた。 人前で半裸でラブちゃんに抱きついてもただはしゃいでるだけだとして許され、下半身が反応しっぱなしでも、水中ならわからない。 子供が付近にいるのにエロスに耽溺してしまっているという罪悪感はあったが、不埒な行為に及んでいるわけではないので問題ないだろう。 そして俺にとってこのキャンプでの大きなミッションの一つがラブちゃんの愛らしい姿を撮影することだった。 予告なく撮影なんてラブちゃんが嫌がることはわかっていた。 そこに国分くんの『ラブちゃんは昔のアニメに詳しい』という情報。 親しみのあるアニメならガードも緩むだろうと考えた結果が『アルプスの少女っぽいコスプレ』だった。 ラブちゃんは戦隊モノが好きらしいとも聞いたが、あれはタイツフェチ向けだ。 俺はあまり心が動かない。 確かに全身タイツでラブちゃんのボディがぴったりむっちりさらけ出されるというのは興奮しないこともないが、それなら断然ぴったりインナーパンツ姿の方がそそる。 流されやすいラブちゃんは粘り強くお願いすればコスプレしてくれるだろうと踏んでいたけど、両手をついてお願いした程度で想像以上にあっさりとスカートを穿いてくれた。 元は妹が学校行事で演劇をした時の衣装だ。 やや短めにスカート丈を直してもらってはいたけど、ウエスト位置があわずに完全にミニスカ姿になってしまったのは嬉しい誤算だった。 妹に蔑みの目で見られたことなんか、本当に些細なことにしか思えない。 アルプス少女のコスプレだったはずなのに、それなりに身長のあるラブちゃんがあの濃いピンクのスカートを穿いて不機嫌な顔でうつむいていると、プレイで幼女コスプレを強要させられているように見えてしまい、何とも言えない猥褻感がただよっていた。 ロリコン性など微塵もない俺に、黄色い幼稚園バッグを持って欲しいと思わせるラブちゃんの魅力は本当に恐ろしい。 そして短いスカートを必死で押さえる仕草の愛らしさは無敵だ。 ラブちゃんは、初エッチの後に俺が狼狽えてもまったく気せずパンツ一枚で部屋を歩いていたのに、なぜかスカートからのパンチラは恥ずかしがる。 ポースを変えるたびにスカートを気にするラブちゃんが愛らしくて愛らしくて、つい色んなポーズをリクエストしてしまった。 撮影しながらラブちゃんの表情を追って……。 ラブちゃんを彩る光に幻惑されて……。 ラブちゃんの影に目を凝らした。 色々な表情のラブちゃんが俺を満たしていく。 ちょっと撮影に疲れてきたらしいラブちゃんの怠惰な表情も色っぽい。 無造作に投げ出された足の指をパクリと口に含みたくなる。 太ももが視界に入れば舐めたいと感じるのはもう条件反射の域だ。 けれど唐突にラブちゃんが撮影を嫌がり出して、カメラを奪われ押し倒された。 可愛くて色っぽいエッチな天使が俺の胸の上に降臨。 天使はいつも天国の門をくぐる前に俺に課題を与える。 ◇ 「オレがキスしたくなるよう、その気にさせてよ」 さらっとラブちゃんの口から出る課題は、いつだって俺には難題過ぎて……。 とりあえず、みっともなくならない程度に唇を突き出してキス顔をしてみた。 「……日置。それだけでオレがその気になると思ってるのか?よっぽど顔に自信があるんだな」 「うっ……いや、そういうわけじゃ」 呆れたような声で言われ、死にそうなくらい恥ずかしくなった。 ラブちゃんに好みじゃないとキッパリ言われてしまっているのに、自信なんかあるわけない。 あとはどうすれば……。 わからない。 ラブちゃんを抱きしめようとしてやめ、足をなでかけてやめ、頬にふれようとしてできず……。 だんだん頭が煮えてきた。 「何やってんだお前」 「う……その。どうすればいいのか」 手をわたわたとさせるだけの自分が情けない。 目を見開いていたせいで涙まで出てきた。 「ちょ……なに真顔で泣いてんだよ」 「泣いてない。ちょっと眼球が水分を欲しているだけ」 「もー。なんだよそれ」 あ……ラブちゃんが頬ずりしてくれた。 そうだ。ラブちゃんに下手な小細工は通じない。 「……ラブちゃん、キス……したい……です」 こんな事でいいのか……不安になりながら小さな声でもそもそと言った。 『とにかくお願い』 過去を振り返ればこれが一番成功率が高かった気がする。 けど、さすがに情けない。 恥ずかしくなって両手で顔を隠した。 「……日置、お前ほんとバカなんだな」 ああ、ラブちゃんの呆れた声が。 これは……かなりへこむ。 ラブちゃんに顔を覆った手を剥がされた。 やっぱり。手の平の向こうに現れたのは呆れたような苦笑いだ。 「こういうの、反則だ。はぁ……もう、本当にズルい」 ため息まじりのラブちゃんの息が俺の鼻先をくすぐる。 そして、チュ……。 ラブちゃんの唇が俺の頬に優しい湿り気を持ってふれた。 チュ……チュ……。 くすぐったいようなキスが少しずつ唇へ近づく。 ラブちゃんの頭をなでるように引き寄せると、ようやくその唇が俺の唇に届いた。 チュ……。 すっかりじらされ、ようやくもたらされたキスに、突き抜けるような感動と快感が走る。 夢中で舌を絡め口内をむさぼった。 「ん……くっ……もー。そんな焦るなよ」 「ごめん……んん……」 しっとりとして柔らかな口内の感触にとろけそうだ。くすぐるように舌を絡められるたびピクンピクンと小さな快感が跳ねる。 「日置のキスって、いつもいきなりエロいよな」 「え……?」 「がっつき過ぎ」 「う……ご、ごめん」 ラブちゃんの遊ぶような愛らしいキスが気持ちよくて、すぐにもっともっとと焦ってしまう。 「ま、今はそれでもいいけどな」 ラブちゃんと比べてキスが下手だという自覚はある。 焦らず。 相手の反応を感じて。 一緒に気持ちよく……。 「ん……はぁ……」 キスしながらラブちゃんの太ももをなでる。 自分の足も絡めて……。 温かく滑らかな肌触りに、すぐ頭が飛びそうになった。

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