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25[終話1]ラブちゃんは草食系9/日置くんはおとぼけくんに萌える
どうにかラブちゃんとエロエロすることに成功した。
けど、天使の慈悲はそれだけにとどまらない。
夢のようだ。
ラブちゃんが『好きなだけ足をさわっていい』などという、許しを与えてくれた。
大興奮のうちに夢中でふれたけど、頭が飛んでしまって温もりと感動しか覚えていない。
その感動を胸にシャワーを浴びてキッチンでグラスなどを片付けていると、後からシャワーを浴びたラブちゃんが、まさかのバスタオル一枚を腰に巻いただけという萌え度高すぎる姿でやってきてリビングのローソファにドスンと座った。
はぁっっ……バスタオルを引っ掛けた細い腰と、裾から伸びる潤いたっぷりの足がものすごくセクシーだ。
全裸やふわもこルームウェアとはまたちがうトキメキがある。
「ふぁー」
ローソファーにもたれて気持ち良さそうに伸びをしている。
ああっ……立てた膝の間からポロリ見えそうだ。
エッチの最中はラブちゃんの顔ばっかり見ていて、ソコはほとんど見ていない。というか、見えない。
そう、見えるわけがない。俺の中にあったんだから。
ふ……ふふっっ。
ふぅ……ちょっと落ち着こう。
今しがた片付けたグラスを取り出し、冷たいお茶をゴクゴクと飲んだ。
……あ、自分だけお茶を飲んで……やっぱ浮かれてるな。
「ラブちゃん、お茶飲む?」
「うん、冷たいのがいい。氷一個だけ入れて?」
「わかった。……あ、アイスもあるけど食べる?」
「食べる!」
無邪気なニコニコ笑顔に俺もつられて頬が緩む。
「どれがいい?」
冷凍庫からアイスを取り出して見せた。
カップに入ったバニラ、いちご、そしてチューブ入りの長細いアイスだ。
「おおっ?なにそれっ。なんか見たことある!オレそれがいい」
よかった。チューブ入りアイスはたまたたスーパーで見つけ、ラブちゃんが好きそうだと思って買っておいたんだ。
チューペットのような折るアイスキャンディではなく、太めのチューブの中に氷片入りのバニラとチョコ2色のアイスが入っている。
「うわ、懐かしい。これ『おとぼけくん』っていうんだ。シャリシャリしてて旨いよな!」
ラブちゃんは謎の生命体の描かれた袋から、ちょっと太めのチューブを取り出すと、なぜか手でしごき始めた。
「え……何して」
「ん、ちょっと溶かして柔らかくして食うのが好きなんだ」
「へぇ、そうなんだ」
でも、バスタオル一枚で愛らしい部分がチラ見えしてしまっているラブちゃんが、なんだかソレっぽい太さのチューブを持ってシコシコしてるって……。
「あれ?そのお茶オレに持ってきてくれたんじゃないの?」
はっ、しまった。
自分を落ち着かせようと、ついつい飲んでしまった。
「ごめん、また注いでくる」
キッチンに戻ってお茶を注ぎ直した。
……はぁ。
エッチをしたばかりなのに、なに妄想しまくってるんだ。
いや、久々にエッチしたから勢いがついてしまってるのか?
落ち着け、ラブちゃんはお子様に人気のアイスを食べようとしているだけだ。
壁に向かって心を鎮める。
草食系肉食動物なラブちゃんがガッツリ食らって満足しすぎたら、またしばらく俺にふれてくれなくなるかもしれないと注意してたはずだろう。
それなのに二回もヤッてしまった。それを踏まえて事後のイチャイチャは控えめにしたんだ。
いや、イチャイチャはいい、けどエロエロはダメだ!
煩悩よ、去れ!
ふぅ……。
パッと振り返ると、ラブちゃんがしごいたチューブからアイスをニョンと押し出してパクリと咥え、しゃぶるように食べていた。
あれは……ラブちゃんのお口に入ってるのはチョコアイスだ。妄想が過ぎるからソレっぽい色に見えるだけで……実際は全然そんな色じゃない。
……そう。全然違うってわかってる。
テーブルにお茶の入ったグラスを置くと、すっとラブちゃんの隣に座った。
「久々に食ったけど、すげぇ旨いなこれ。あれ?お前は食わねーの?」
「ん、食べ………たい」
「あ、何?一口ちょうだいってこと?いいよ、はい」
差し出してくれた『おとぼけくん』をパクリと咥えた。
そしてラブちゃんが舐めて丸くなった先端に舌を這わす。
冷たい。そして甘い。
「ん……ありがとう」
「おーい!お前舐め方エロいよ」
へへっと笑ってラブちゃんがまたおとぼけくんを口に入れた。
……ああ、舐めしゃぶる口元から目が離せない。
舌を出しても、吸い付くようにすぼめても、クラクラとするようなエロティシズムが……。
ああ……ちゅばっと吸い付く音に耳をくすぐられ、下半身が疼いてしまう。
冷静になれ。
そうだ、口元を見るからいけないんだ。
視線を下げれば、バスタオルから伸びるラブちゃんの足が。
しっとりと艶やかで、タオルの合わせ目が俺を誘うような……。
冷静に……冷静に……。
けど、ラブちゃんの風呂上がりの生足を見て、冷静でいられる方がどこか壊れている。
誘われるままフラフラと、ラブちゃんのお膝に頭を乗っけてごろり。
膝枕だ。
ああ、やってしまった。
とうとうラブちゃんの太ももに顔を乗っけてしまった。
冷静に……と思ってたはずなのに、真逆のことをしている。
けど、夢にまでみた膝枕だ。
しかも、許可も取らずに超スマートに夢を達成してしまった。
ああ、なんだこの無敵感は。
まるで世界の全てを手にしたような気分だ。
さらに『今日は久々にエッチできた』という成功体験が俺の気を大きくしてしまっていた。
見上げればラブちゃんの顔。横を向けばラブちゃんのお腹。
そして耳元には……。
そう思った途端、勝手に手が動いていた。
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