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日置くんはイケている25[終話5]日置くんは健康美に酔いしれる

さっきまでと同じように撮影素材を探しながら公園内を歩く。 けどそんなの口実だ。 一応風景の撮影もするけど、俺が撮影に夢中になってると思ってゆっくり歩いているラブちゃんをパシャリ。 撮影の様子を遠巻きに見えてるラブちゃんも、風景撮影のついでのフリをしてズームでパシャリ。 前もって『俺の撮影を見てるラブちゃんを撮りたい』と伝えていたから、カメラを向けても嫌がられなかった。 必要もないのに芝生に寝転んで秋の空を撮影。 そしてラブちゃんを呼ぶ。 俺の横に立って見下ろしてくるラブちゃんをパシャリ。 はぁ……これも絶対撮りたかったショットの一つだ。 ついついシャッターを切る回数が多くなる。 無邪気な表情だし、誰に見せても何の問題もない写真だ。 でも逆光で顔に少し影が落ち、髪がはらりと頬にかかる様子など、ベッドで俺に覆いかぶさるラブちゃんを思い起こさせる。 健康的なのに俺だけはエロスを感じられるという激萌えショット。 ああ、撮りながら顔がにやける。 『日置、入れるぞ?』 そんなセリフを思い出してこの写真を見たら、一人の夜だって………はぁぁ。 「何ニヤニヤしてんだよ気持ち悪い。オレを撮らずに風景撮れ」 「あ、いや、公園内はある程度撮ったからラブちゃんを撮っていい?」 「ええ?今日はオレはついでだろ?」 「あーっと、画角に人物が入った方が広さや大きさがわかっていいんだ。ほら、あの健康遊具はナチュラル素材でちょっとオシャレだし、あそこ行こう」 「……おしゃれ……?うーん、写真になったらカッコよくなるのか?」 とっさの思いつきで、ストレッチもできる木製の背伸ばしベンチを指差していた。 背もたれがラウンドしているだけでいたって普通のベンチだけど、それっぽく撮ればオシャレに見えなくもない……かもしれない。 とりあえず、ベンチの木目を生かして何となく気取った写真を撮ってみる。 それをラブちゃんに見せると『へぇ…!』と感心してくれた。 どうやらこのベンチは撮影素材としてアリなんだと認識してくれたようだ。 「じゃ、その背もたれの丸くなってる部分に座ってくれる?あ、いや、馬に乗るみたいにまたがって足をベンチの座面に……あ、靴脱ぐ?そうだねベンチだし。そしたら靴下も…ナチュラル感出したいから…素足で、うん。じゃ、前に両手ついて……」 何だこれ?と疑問符いっぱいな表情のラブちゃんをまずパシャリ。 はぁ……さすが健康遊具だ。 夕日に照らされたラブちゃんがまたがるだけで、俺には大人の遊具に見えてくる。 俺の妄想の中では『はぁっはぁっ……』と息を乱してラブちゃんがなまめかしく腰を揺すっていた。 「乗馬してる感覚で……あ、前のめりのジョッキースタイル良いね」 ちょっと前傾姿勢になるとラブリーなエロさが増した。 ぁ…ああ…ラブちゃんがちょっと眩しそうに目を細めてカメラを見上げるこのアングル……最高だ。 日が沈みゆく公園で、無邪気にハァハァ夜の健康体操をするラブちゃん。 ついつい色んな角度で撮りたくなる。 『ぁ…はぁ…日置……オレ…もう……イクっっ!』 ふぁ……ラブちゃんっ俺も一緒にイキたいですっっ!! 「ちょ、お前鼻息荒くね?なんか変なこと考えてただろ」 さっとベンチから降りてしまった。 「あ、ちょっと待って、この背もたれの丸みは背伸びするためのものだから、一度それで……」 「ええ……?」 俺のおかしな気配を感じていたはずなのに、設置されてる看板を指差し『利用方法の一例』を説明されるとラブちゃんは素直にそれに従った。 ベンチに座って背もたれにもたれてバンザイをしながらグググと伸びをする。 「うが…結構きつい」 これはこれで可愛いので一枚撮るけど、やっぱりもう少しセクシーな方がいい。 「もう少し斜めに大きくもたれかかって……片足をベンチの上にあげようか……うん、いいね」 背伸びというより、ベンチのラウンドした背もたれにのけぞって胸を突き出したセクシーポーズだ。 体を支える太もものフォルムがベージュの綿パン越しにムチっと出ていてすごくいい。 「すげぇキツイけど、ほんとにこれでいいの?」 明らかに不自然だけど、ラブちゃんは背もたれでバランスを取るのに一生懸命で、どんな格好になってるかわかってないようだ。 「どんな感じ?」 「背中は伸びるけど、足と腹筋が結構きつい」 「そっか、筋肉にも効くんだね」 「え、そういうこと!?」 はぁ……無防備で可愛い。 足がプルプル震えているのも可愛かった。 写真では木立ちに囲まれたベンチで扇情的に寝転び、顎をそらして胸を突き出しているように見え、セクシーなぼんやり顔で、必死さは写っていない。 やっぱり無理な姿勢がきつかったのか、さっさとやめてしまったけど、悶えるラブちゃんをしっかり堪能できた。 ちょっと苦しそうな顔とか……はぁああ…エロかった。 あんな顔をされると股間から伸びる綿パンのシワさえ、緊縛や戒めのように見えてきてしまう。 まるで羽をもがれ、ぐったりと仰け反り倒れる、悲劇の天使だ。 それを俺が助け癒して……お礼に…ふ…ふふっふふふ……。 お約束展開なら、羽を取り返すまで一緒に暮らすことになって、でも、羽を取り戻した後もやっぱり一緒にいたい!……ってすがられて……っっかぁわいいなぁっっ…もう! 「何笑ってんだ。キモいなぁ」 ラブちゃんは近くにある他の健康遊具に移動してちょこっとずつ試していた。 「いや、いい写真になったから」 「嘘つけ。さっきまでいい写真撮れてもあんな変な笑い方してなかったぞ」 「……う……」 ラブちゃんを撮るとどうしてもにやけてしまう。完全に無表情になるのは無理だけど、少し気をつけないと。 ……けど、そうだ。 ここには確か……アレが。 「ラブちゃん、アレやってみない?」 「ええ…やだよすげぇ痛そう」 そう、定番の足つぼ健康踏み石だ。 「大丈夫大きな石と小さな石でエリアが分かれてるし、青竹踏みもあるから」 「んーじゃやってみようかな」 ラブちゃんが踏み石に近寄っていく。そして俺はさっとカメラを構えた。 けど……。 「いや、靴のままじゃダメだよ。靴下もダメ、絶対裸足。じゃなきゃ絵にならないから」 「はぁ!? 寒いし余計痛いって!」 ぶつくさ言いながらも、写真のためだと思ってるのか素直に裸足になってくれる。 「あ、痛いけど、おっきい石は結構平気」 「じゃ、中サイズ行ってみる?」 「うわー怖いっ。よしっ……って、ぁ…あう…うぁ…うぁあっっ……」 お…おおおお……これは……。 はぁ……声がエロい。 ビクビクした顔も可愛いし。 声を震わせ、体をビクつかせながらも、まだ余裕があるらしくそろそろと足を踏み出していく。 ああ、これは動画で撮影したい。 「ラブちゃん、イケそう?」 「ん、ギリギリいける……けど…ぁ…ああ…だんだん痛くなってきた」 ラブちゃんの声が小さく震えてきた。 「ヤバい…ぁ…あ…も、無理かも。ぁ…あ…ああ!」 歪められた眉もセクシーだ。 「これ、もう無理。ぁ…ぁああ…ふぁん!」 ああ、なんて声を出すんだ。 つられて俺の息遣いまで荒くなりそうだよ。 ラブちゃんの美しい足が無骨な石ころにいじめられる様は可哀想で、なのにたまらなく沸き立つ。 その姿から目を離せないからちゃんと撮れてるかどうか自信がないけど、連写なら一枚くらいいい写真があるだろう。 「これどうすればいい?」 声を震わせ、すがるように俺を見つめる。 痛すぎて頭が回ってないんだな。 はぁ……泣きそうな顔がエロ可愛い。 「ラブちゃん、無理しないで横の平らなコンクリート部分に降りれば大丈夫だから」 「あ、そっか……!……ふぁ、痛かったぁ…横にそれるだけでいいのに気づかないって、オレ、ボケてるなぁ」 ヘヘッと照れて笑う。 さっきまで『痛い、もう無理!』とセクシーボイスでアンアン言ってたのにこの笑顔。思わず抱きしめたくなる。 「あ、待って」 すぐに靴下を履こうとするラブちゃんを止めて、横のベンチに座らせた。 そして側にある水飲み場で、持っていたタオルを半分だけ湿らせる。 「日置、気が利くな。ありがとう」 ラブちゃんがタオルに手を伸ばす。けど俺は手渡すことなく隣に座った。 爽やかさを意識してニコッと笑うと、ラブちゃんの足を自分の膝の上へ。 片足づつ足の裏をタオルの濡れた部分で拭き拭き。 そして冷えてしまわないよう、すぐに乾いた部分でさする。 反対側も拭き拭き。 さらに両手でそっとラブちゃんの足を包んで温める。 ちょっと冷たくなっていた足に俺の温もりが伝わっていくのを感じ、心に幸せが満ちていく。 「ふあ…あったかい」 嬉しそうにラブちゃんが笑った。 ついつられて俺の微笑みも深くなる。 大丈夫だろうか、イヤらしくにやけてないか? 本当はつま先にキスしたいけど、それはグッと我慢する。 それから靴下をそっと履かせて仕上げに靴も。 「ふふっ、日置サンキュ!」 一瞬だけどラブちゃんがちょこんと俺の肩に頭をもたれかけ、甘えるような仕草を見せてくれた。 ラブちゃんの愛らしい足に好き放題さわって感謝される。 はあ…なんて幸せなんだ。 この調子なら、今計画している足拭き……いや足湯デートプランもうまくいきそうだ。 足湯なら上がるときにラブちゃんの足を拭かせてもらえるんじゃないかと思い、計画している最中なんだ。 足湯に浸かるときは当然ボトムスの裾をまくって膝下まで出すし、うまくいけば濡れてセクシー度の増した足を拭き拭きするのも楽しめる。 できれば足湯を冬の定番デートスポットにしたい。 けど、あまり人の多いところはダメだ。 ラブちゃんが人前で俺の膝に足を乗せて拭かせてくれるとは思えない。 「ラブちゃん、温泉好き?」 「温泉?旅行先のホテルでしか入ったことないから……好き嫌いとかあんま考えたことない。今から温泉行くのか?」 「………えっ?」 「なんだ違うのか」 「ラブちゃんと……温泉……い、いや、ダメです!」 「ダメってなんでだよ」 「普通の温泉は男が入ってるからダメ!」 「……はぁ?オレに女湯に入れっていうのか」 「ちが…それもダメ!絶対ダメ!」 「じゃ……家族湯?」 家族湯……とは、いわゆる貸切風呂だな……。 脱衣所で服を脱ぐラブちゃんを堪能し、先に浴場に足を踏み入れたラブちゃんに『日置早く来いよ』なんて可愛く誘われ、掛け湯をしていたら『入る前に簡単に体洗いっこしよう?』なんて……はふっ。 「えー、非常に行きたいですが……湯船に入ってすぐに…白濁湯にしてしまいそうなのでダメです。それはもう少し俺に余裕ができてからでお願いします」 「はぁ?じゃ、なんで温泉なんて言い出したんだよ」 「いや、その……寒くなってきたから、今度デートで足湯なんかいいんじゃないかなって」 ラブちゃんがちょっと驚いて、それからハートをわし摑みされてしまうような可愛らしい笑顔になった。 「そっか、うん、デートか。楽しみだ」 「本当に?」 「うん、だってお前にデートとか言って誘われたことほとんどないし」 「……そう……だっけ?」 確かにラブちゃんと出かける時はできる限り失敗がないようにと目的をきっちり決めて行くことが多いから、デートだなんてふんわりした言い方で誘うことはしないかもしれない。 「まあ、オレは日置と出かける時はデートのつもりでいるけどな。もちろん今日の撮影も」 「えっ……デート?……そうか…これもデートなのか」 「『えっ』ってなんだよ勝手についてきてデートとか言うなって事?」 「いや、まさか……!そうじゃなくて……ラブちゃん、キスしていい?」 「は……?なんでそうなるんだよ」 俺も言って自分で驚いていた。 俺の趣味に付き合ってラブちゃんは退屈してるんじゃないかと思ってたのに、デート気分でいてくれたってことが嬉しかったんだ。 だからと言って、デート=キスだなんて小学生レベルの発想だ。 ラブちゃんもちょっと困ったような顔で俺を見てる。 けど……。 「……さっきみたいに、ほんのちょっとだけだぞ?」 ちょっと顎を上げて目を瞑った。 え……これは……キスしていいってこと……ですよね。 フラフラ誘われ顔を近づけると、ラブちゃんがパッと目を開いた。 まずい、早くしろって叱られる。 チュッと唇を合わせ……ついついソロリとラブちゃんの柔らかな上唇を舐めてしまい、さらにそのまま舌を侵入させ、ラブちゃんのトゥルリとした舌を探ってしまった。 「ふぁふ…ばか…やりすぎ…んむ……ンァ……」 「は…ふ……ごめん。でもラブちゃん……だいすき……」 あ、あんまり好きっていうなって言われてたんだ。 「ふふっ。ちょっとって言ったのに。日置のバカ」 ちょっと照れた顔で、俺から拳一個分離れてちょこんとベンチに座りなおした。 ああ…ラブちゃんがラブリーだ。しかも演技なし、本気の可愛さ300点満点。 『好きって言うな』って言っておきながら、俺の『好き』をグツグツと煮立たせる。 はぁ……でも自分でもさすがにラブちゃんを好き過ぎて怖いから、ラブちゃんも薄気味悪く思って『好き禁止』にされてしまったのかもしれない。 よし、しばらく言葉にするのは控えめにして、ここ一発って時にだけ想いを伝えることにしよう。 そうすればラブちゃんも俺の愛の言葉に感動して『日置、大好き、オレも愛してる……!』って……ああ、やっぱり俺って発想が小学生だな。 大体『ここ一発って時』っていつだ。 それがわからないから俺はラブちゃんの愛情を得るのに四苦八苦してるんじゃないか。 『ここ一発って時』に限定すると、俺は一生『好き』と言えなくなってしまう。

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