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捌 1
透は成川の家に拉致されるように連れられて、薬を盛られて爛 れたセックスをした翌日の夕方に帰宅した。
玄関で、すぐに暁につかまった。
「仕事は?」
と、透だ。
「週末中心、学業優先が母ちゃんの方針」
「そうだっけ……」
「あいつの匂いがべったりついてる」
「そりゃあ、泊まったからな」
「すぐに帰って来れないわけでもあった?」
「千明の相手したばっかりで、疲れがとれてなかったの」
「αのくせに。Ωの相手も出来ないんだ?」
(おまえの相手がしんどかったんだよ)
「そ」
と、透が答えた。
暁の横を通りすぎると、腕をつかまれた。
「抱かせて」
と、暁が抱きついてきた。
「やめろよ。母さんが帰ってくる」
「今日は〆切前で職場に泊まりだって」
何がきっかけだったのかはわからないが、暁に暴行され強姦された。
すっかり桜も散ってしまったが、葉桜がきれいな新緑に覆われるには、まだ少し間がありそうなそんな時期だった。
それからは弟の暁とセックスする異常な日常が始まった。
きっかけは暴行でしかなかったけど、
二度目からは快感を得た。
そのあとは、暁にひたすらに快楽を植えつけられた透だった。
暁の部屋のベッドには高山兄弟がいた。
「……やわらかい」
と、暁が透の体内に指を入れた感想だ。
「……おまえが入れたからだ」
「ケツの筋肉弱くねぇ? こんなんじゃウンコ垂れ流すんじゃねぇの、お兄ちゃん」
はっきりした意図を持って暁の指が動く。
(やめろってば、バカやろうっ!)
暁が透の耳の下を甘噛みした。
「暁っ!」
突きあげる快感には抗えない透だった。
幼い頃から慣れ親しんだαのフェロモン。
それがあっというまに、淫靡な香りに変換されていく。
成川の相手にした時のような強制的に、欲情を引き出されるのではない。
自然と体が欲するような甘美な欲望がしみでてくる。
(……嘘…ありえない。
あっちゃいけないのに……)
透は成川との違いに愕然としながら、
惹かれる匂いにあらがえなかった。
弟の愛撫に歓喜するのを自覚した。
指だけで、達きそうになっている。
たえぬいていたぶん、襲ってくる快楽の波は底が知れなくて。
暁にしがみついて、侵食する快感に身をゆだねたら、意識がとぎれた。
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