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肆 2※

千明は便座に座っている暁の膝に、向かい合って座っていた。 千明はズボンの汚れ防止のため、下半身は裸だ。 『匂い付けのための触りあいっこ』 というペッティングの最中なので、暁の方もズボンと下着を下げた状態だった。 『もうすぐ発情期』 そう暁にRINEを送ったら、昼休みに特殊教室3Fのトイレに来るように返信がきた。 昼食も摂らずに、急いで訪れた千明だった。 先に来ていた暁に腕を取られて、奥の個室に連れ込まれて今に至っている。 発情期が近い体は、少し弄られれば、すぐに熱く濡れる。 Ωの自分をまざまざと実感する千明だった。 胎内に挿れて欲しくて、腰がゆるくゆれてしまうのを止められない。 暁が千明のたくましい陰茎をにぎり、千明の勃起して先走りの汁が滴る欲にまみれた陰茎を暁が、ことさらゆっくりと扱いていく。 ゆっくり、ゆったりと動く手の動きに焦れたのは、千明の方だ。 「あっちゃ…ちゃんと…してぇ」 見下ろしたら、醒めた黄緑色の目があった。 「おれとしたあとも、透とすんの?」 「……発情期だから」 「発情期以外はヤんないのかよ?」 「そんなの、あっちゃんの方がしってるでしょうが……」 「しるかよ。最近呼ばれなくて、おれはさみしいよ?」 「だってっ…あん…」 千明の尿道の入り口に指先を入れてきた。 「だって、なに?」 「……とお…るが嫌がるからっ…」 「おれは、もっと乱れてきれいでかわいく鳴く千明が見たいんだけど」 「……透に嫌われたくない」 「おれには嫌われてもいいんだ?」 「あっちゃんは……僕のこと、好きじゃないから。あんんんっ…」  暁はデリケートの所を責めるのを止めてくれない。 「じゃあ、透は千明のこと好きなの?」 暁の手を払いのけた。 「もういいっ……自分でするから」 暁の肩に手をついて離れようと腰を浮かしたら、 「はっ…んんんっ……なんで()れるのぉ」 ほぐされてもいないのに、潤んだ蕾はなんなく暁の怒張を受け入れていくのだ。 「一人だけで気持ちよくなんなよ」 と、暁が千明の耳裏を舐めていく。 「あぁ…ん…」 (匂いを付けるだってて言ったのに。 暁のバカっ! 鈍い透だって気付くはずの濃厚な匂いを付けられた。 透と帰るのに、これじゃあ帰れないよ) 産まれた時の男女の性別の他に、『第三の性』の性別検査が義務化されており、国民は10才になった時点で強制的に検査がされる。 誕生日の2ヶ月前に人口庁から直属に書留郵便が届き、誕生日に指定病院で人口庁の職員に付き添われ検査に行くのだった。 検査結果は2週間後に書留郵便が届くのだ。 αβΩという三種類の性別に区切られ、βには変わらない日常が訪れるが、αとΩには特殊な環境が準備されていた。 αが多く通う国の管理下の国立や私立の名門学校への転校等、αの人間にとって将来的に有利となる環境が準備されていた。 稀少なΩは世界的な規模の人身売買のターゲットになっており、世界人権保護法で保護される人種なので、国の管理下の特別な施設で育成される仕組みが成立していた。 Ωと判定された時点で、そのΩとその家族に様々な公的な優遇処置がされるのだ。 番防止のチョーカーは、GPS機能等付きで、個人のアレルギー検査に適した蒸れない薄い特殊素材で出来ており、オーダーメイドで作られる。 年齢に応じて何度も作り変える代物で、Ωの指紋認証とパスワードがなければ、外せない仕組みになっていた。 意にそわない番関係の成立を阻止するというよりは、番となった特定のαとだけの性交を阻止するためなのは明白だった。 稀少種を一人だけのαに独占させないためだと言えた。 発情期にαと性交すれば必ず妊娠出来るΩは、人口減少の抑止力としておおいに注目をあびていた。 Ωの産んだ子供は『第三の性』に関係なく保護され、優遇処置がされていた。 人権保護という大義名分の裏で、個人の意思を無視した産む機械化されているという矛盾がおおいに生じていた。 しかし、大半のΩは抑制剤を飲みながら、普通に生活をしていた。 日本国政府はΩの保護のため日々精進しているが、Ω人口は増えず、日本国民の人口減少傾向に歯止めがきかない現状だった。

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