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伍 4

千明が透の腹にまたがったまま、腰をゆすってくる。 透の陰茎をにぎって、上下に扱いていく。 自分をかわいがってくれる大事なモノを荒っぽく育てていった。 ふだんはかわいい感じの千明が、艶をおびていやらしく美しく変貌していくのを見るのが、透は好きだった。 白い肌は発情期のため、体温が上がりほんのりと色づいていた。 「千明っ…」 「とおる……色っぽいね…」 「手ぇ…離せ」 「やだ」 透の陰茎を握っている千明の手に、透は手をかさねた。 「中に欲しくないの?」 と、透だ。 「あとで、いいよ」 「オレは千明の中に入りたいよ」 透は両手を伸ばし、千明の小さな顔を包んだ。 「千明のいやらしいところ、もっと見たい……オレに見せて」 千明の眉尻が下がり、 「……ずるい」 と、唇を噛んだ。 「噛んだらダメ。ケガする」 千明を引き寄せて、透は小さな口に口付けた。 目を閉じて応えてくれる千明を、透はみつめていた。 千明はキスが好きだ。 舌を差し入れて、千明の感じる口腔内を刺激していく。 上顎を舐めてあげると、一気に体の力が抜けていった。 のしかかってきた体をキスしたまま、反転して体を入れ替えた。 千明は潤んだ目を開けてみつめてきた。 透は唇を離して、 「オレが欲しい?」 と、きいたら、 千明はこくんとうなづいた。 「言って」 透の視線をさけて、横を向いた。 「……透が欲しい」 と、小さな声で言った。 千明の赤くなっている耳に口をよせて、 「あげるよ……千明が欲しいだけオレをあげる」 と、透は甘くささやいた。 その瞬間、むせかえるほど甘い匂いが発せられた。 本格的な発情期の訪れだった。 慣れ親しんだフェロモンでも、一気に浴びれば意識が朦朧(もうろう)としてくる。 形のよい千明の耳たぶをかじってしまった。 勢いよく噛んでしまったので、鉄臭い血の味が口をしめた。 ゆっくりと透は上体をおこした。 (ヤバいな。 強い抑制剤を飲んだのに、のまれるところだった) 安定して定期的にくる千明の発情期。 変わらない状態だと思っているのは、Ω本人の千明だけだ。 だんだんフェロモン量が増していっている。 番を持つか、子供を産めばフェロモン量は減少するそうだ。 十代のうちに子供を産むことを推奨しているのも、あながち的を得ているのかもしれない。 この部屋に入る前に、フェロモン量の数値が上がっていることは人口庁の職員から聞いていたが、予想以上だった。 非常時用に、α用の注射式の抑制剤を渡されていた。 (ジーンズのポケットの中にあるけど、取りにいけないわ。 ヒートをおこして、千明を傷つけたら、職員が飛んできて注射うつし。 まぁ、いいか) ヤり部屋はフェロモンの洩れはないが、盗聴されているのだ。 ヒートをおこしたαに、Ωが怪我させられたり殺されないためだ。 稀少で貴重なΩを守るための措置だった。 そのことをΩはしらないが、相手をするαはしらされている。 それは繊細なΩが気に病むことなく発情期を過ごすためだった。 『第三の性課』はΩだけにある課ではない。 優秀なαも保護される立場にあるからだ。 βに対しても相談窓口が開かれており、すべてのバース性の総合的な課であった。

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