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漆 4

αの発情期(ラット)状態の性的衝動を、理性や忍耐力で制御出来るのは不可能に近かった。 透は前日の昼までΩのフェロモンに翻弄されて、αのフェロモンにつつまれていた。 Ωの発情期(ヒート)の性的衝動を(いざな)う酔いそうな甘ったるい匂いよりも、αの発情期(ラット)の情熱的で攻撃的な匂いの方が、透にとっては心地よいものなのを身をもって味わったばかりだった。 昨日まで自分を覆っていたαのフェロモンじゃないことに、気持ちよりも体が拒否反応をしめした。 慣れ親しんだ安心出来る匂いで、信頼のおけ親友の行為でも受け入れないと。 傷付けないように抑え込まれ、素早く衣服を脱がされ乱れた姿を晒しても、体内にめぐる熱が頭をおかしくして淫らな声を発していても、体は受け付けなかった。 成川に体をさわられるたびに、震えがおきた。 気持ちいいと認識するのに、体は拒むのだ。 透の陰茎は、成川の愛撫に勃起することはなかった。 「……高山、俺は嫌か?」 透が涙でうるんだ目を開けた。 「……はあっ…くちゅ…りつかって、こんにゃ……されてぇ…あっ、うううんっ!」 肛門に異物を入れられて、甲高い声があがった。 「なゃに…」 「ジェルボール」 「ああぁっ!」 次々と肛門に異物が入れていく。 硬くはないが、けっこうな大きさのあるものが、狭い所に入れられ、圧迫され苦しさが込みあげてきた。 「にゃるかわぁ…とっれっ!」 と、成川の腕にしがみついた。 「手前のは取れるけど、奥のは手が届かないな」 「うしょ……。とっれ、とっれよ。にゃるかわっ!」 ふるえる透を、成川は抱きしめて、 「体温で溶けるボールだから取り出さなくても大丈夫。そんなに慌ててかわいいな」 透の肛門の入り口に指をはわし、 「ここで遊んだことないのか? アナルビーズやバイブとか?」 「なぁいよっ…」 成川が嬉しそうに笑って、 「高山の初めてをいっぱい見せて」 透の肛門に指を入れ、手前にあるジェルボールを割った。 トロリとした液体が体内を満たしていく。 「あっ、ああぁっ?」 液体は体外にあふれでるのは、わずか。 ほとんどは体内でとどまっているのだ。 「あちゅぃ…。にぁにぃ?」 「αの雄型に使うアナルセックス用のジェル。通常のローションとは違い体内に留まって、肛門括約筋を弛緩させるもの。媚薬入りで、あと、3つ入ってるよ」 「ばっかぁ。ひにょいっ!」 透が成川の背中を力一杯何度も叩いた。 「ちょれっ、ちょれってば! あっん!」 「二つ目、溶けた? それとも媚薬が効いてきた?」 「にゃるかわっ!」 「高山は怒った顔が、一番きれいだ」 成川がさんざん可愛がって赤くなっていた乳首。 でも、立ちあがらなかったのに。 それが、触れなくても、ピンとた立ちあがっていた。 成川が使用したα専用のジェルボールは、最高級品で市場には出回っていない。 アナルセックス初心者用に開発された製品で、処女でも雌イキが出来るほどの濃度の高い媚薬が配合されており、主に低年齢層向きに使用する目的のものだった。 性的に特化した体を有するΩを相手にするのに飽きた富裕層の娯楽の為の代物だ。 いわゆる幼女少女・少年を対象に抱く愛情や執着を実現させるための一つだった。

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