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サモナが少年の姿に戻ってシーツと毛布を袋に詰めている。
律儀にもまた黒のビスチェにミニスカート姿だ。
サモナがヤってるあいだ濡れまくりで、シッポとチンコ両方でイくし出すしで、オレのベッドはまるでローションプレイでもしたみたいにぐしょぐしょになってしまっていた。
とてもじゃないけど今晩あのベッドでは寝れない。
ちょこまかと後始末しているサモナを尻目に、オレはソファで予備の毛布をかぶってごろ寝だ。
「だいたい目処がついたらキリつけろよ」
「はい。マットレスにはあまり染みてないみたいなんで……あの、窓開けましょうか?部屋にエッチな匂いが……」
モジモジと恥ずかしそうに窓に手をかけた。
「あー。開けると寒いし、サモナの美味しそうな匂いしかしないしオレは気にならない。気になるなら換気扇つければ?」
「お、美味しそうって…」
小さい手で顔を隠して固まっている。
「何恥ずかしがってんの」
「だ、だって嬉しい……。マスターの香りもとっても高貴で素敵です」
……高貴?どんな匂いだよ。
オレがサモナの体液や匂いをフルーツゼリーみたいに感じるように、サモナもオレの匂いが少し違って感じられるのかもしれない。
「あれ…?目のそばに三ツ葉みたいなアザあったけ?」
大人の状態では顔に入れ墨のような柄が入っていたけど、子供の時は何もなかったはずだ。
「えっっ。俺の顔に印が浮かんでるんですか?」
「これ何?」
ソファに座り、サモナを引き寄せ膝に乗せて近くで見たけど、汚れじゃなさそうだった。
サモナはまた顔を真っ赤にしている。
「こ…これは心と体を通じ合わせると出る恋人の印です。人間のマスター相手でまさかこれが出るなんて……」
「へぇ、つまりサモナはマジでオレに惚れちゃったってわけか」
「う……。マスターの媚薬効果が強すぎるんです。おそらく大悪魔並です」
「お前が魅了に弱いわけじゃなくて?」
「違いますよ。そもそも魅了に弱けりゃこの歳で初体験なんてありえません。仮にも準貴族なんですから普通の悪魔と一緒にしないでください」
準貴族とか普通の悪魔とか、そんなこと言われてもどのくらい差があるのかわっぱりわからない。
「単にサモナの『魅了』の力が弱いからモテないだけじゃ…」
「違いますっ!悪魔は魔力が強ければモテるんですっ!俺は戦闘タイプで学校でも上位です。ザコは相手にせずに卒業後に大悪魔と関係を持ちまくって、俺も大悪魔になるつもりだったんですから」
「え?大悪魔とたくさん関係持つと大悪魔になれるの?」
「はい。大悪魔に限らず他の悪魔と関係を結ぶたび、この恋人の印が上位の印に書き換えられていきます。印を結んだ相手とは力の一部を共有ができるようになるので、より多く強い相手と関係を結べばそれだけ自分の魔力が強くなります」
「へぇ、ヤリチン最強なんだ?」
「そうですね。でも、自分より弱すぎる相手と関係を結べば魔力を無駄に消耗しますし、強すぎる相手と関係を結べば『従属 』してしまい、他の悪魔と関係を作れなくなってしまいます」
「じゃ、サモナは元の世界に戻ったらヤリまくりなんだ?」
「それは……まぁ…多分。でも、相手はちゃんと選びますよ」
不機嫌になったオレに、困ったような顔する。
「……戻したくない」
「そ…それは…その……。召喚者が願いを一週間以内に言わなければ、自動的に帰ることになってるので……まずは願い事を言ってもらわないと」
おいおい、そんな説明聞いてなかったぞ。
さては、オレがダラダラ願いを決めずにいたら、後出しでこのルールを言ってさっさと帰ってしまうつもりだったな。
甘く見てたけど、単純なサモナにもちゃんと悪魔らしいずるさがあったってことか。
でもこのルールを自分から教えたってことは、サモナもオレと一緒に居たいと思ってるってことだよな。
「願いはもう決まってる」
「えっ、そうなんですか?」
「言っていい?」
「……一応先にどういう内容かうかがっていいですか?」
「サモナのエッチが超激しいから、これからどんなに激しくヤっても、次の日に響かないようにしてもらえたらなって」
「そっっっっ……それは、マスターの体液の媚薬・催淫効果が想像以上だったので、精液を流し込まれるたびさらに…い、いや、ええっと、激しくなりすぎないよう、ひ、控え……ます」
恥ずかしそうに小さな両手で顔を隠しながらオレの胸に伏せた。
「激しいのはいいんだよ。ただ、疲れ果てて次の日仕事に響いたりしたら困るから」
「その、それは願いにしなくとも」
サモナがオレをソファにふわっとうつ伏せに寝かせ、チョンと背中に乗った。
そして、背中を軽く押しながらさする。
「ちょっとだけ魔力を流しながら、マッサージすればいいだけですので」
おお、腰の張りが緩んでいく。
しもべって便利だな。
「じゃ、どうしよう願い。ていうか、悪魔っていいよな。ヤリまくりが当たり前なら、浮気とかもないんだろ?」
「恋人同士の場合は浮気にはなりませんが、婚姻した場合、婚姻相手や恋人以外と関係を結べば浮気になり、パートナーたちに報復されてしまいます」
「へぇ。じゃ、恋人百人いたら、婚姻した後でも恋人百人とはヤり放題?」
「はい。恋人ですから何ら問題ありません。しかし、全てにおいて婚姻相手が優先されます。そして婚姻相手は最初の恋人と、恋人の中で魔力の強い五人から選ぶことになります。ですから悪魔にとって最初の相手は非常に重要なんです」
「へぇだったらオレ、ヤリまくって大悪魔になりたい。『マスターが命じる。オレを大悪魔にせよ』とか言ったらその願い聞いてくれるわけ?」
大悪魔がどんなものかよくわからないけど、貴族とかそんな身分とは別みたいだから最強モテ男、モテ女の称号的なものなのかな。
背中の上のサモナを振り返ると、呆れ返ったような顔をしていた。
そして、ふぅ……とため息をつく。
「イエス、マスター」
「え、できるの?ええっマジで?それ願っちゃおうかなぁ」
そしたらサモナとずっとヤリまくり…いや、一緒にいられるしな……なんて。
「ああ…もう。マスターっ!願いの言葉を言った時点で契約成立やから!!アホや、アホすぎる。ああ、もう。取り消す?取り消した時点で俺帰らんといけん。ああっもうっっっ。マスターのアホちん!」
「あぐっっ…痛い!サモナっシッポで叩くな」
背中の上のサモナが興奮して大人の姿に戻ってしまった。
しかもかなり怖い顔をしてている。
「なに怒ってんだよ。そもそもオレを大悪魔にするとかできるの?」
「それは……人間界で大悪魔になるのは無理ですけど、死んだ後になら悪魔になれます。ただし悪魔になるための魔力を注ぐにはマスターに長生きしてもらわないと。それからさらに大悪魔になるには魔界での努力も必要です」
「へぇ、そうなんだ。んじゃ、願いそれでいいや」
「は……?そんな簡単に……」
「今のオレの本当の願いは『サモナとヤった疲れが翌日に残らないようにすること』だし。エッチもマッサージもサモナがこのままオレのそばにいてくれないとできないだろ」
「え…まぁ。そうですね」
「『大悪魔になる』って願いにしとけば、サモナはずっと一緒にいるんだよな?でも死後オレが悪魔になったとして、その時はもう『しもべ』じゃないんだろ?魔界でもまたサモナと一緒に居られる?」
「それは…マスターがそう願うなら。魔界でも『恋人』ですから」
サモナの表情がふわっと緩んだ。
「サモナはオレが大悪魔になったらヤキモチ妬いちゃう?」
「……まさか!! 初めて恋人の印を結んだ相手が大悪魔になるだなんて名誉です!マスターなら貴族の大悪魔とだって体さえ交えられれば、その媚薬効果だけで心までつかめますよ!そしたら魔力も増えて『魅了』を使いこなせるようになって、すぐ大悪魔になれます。そのためにできるだけいい相手と関係を結べるよう、私が全力でサポートしますから!」
キラキラとした目で、オレの恋人探し宣言をするサモナが不思議だ。
これが人間と悪魔の感覚の違いなんだろう。
「そうなんだ。それってどのくらいかかるんだろ」
「そうですね、これから寿命尽きるまで生きて、悪魔になってからですから、百五十年後には大悪魔と関係を結べるんじゃないでしょうか」
百五十年後………。
オレの中で予定ってのは一週間単位だ。
一年後だってどうなってるかわからない。
しかも悪魔になるって言っても死んだ後のことだ。
今考えたってしょうがないな……。
もし、やっぱ悪魔は嫌だなぁって思う日が来ても、願いを取り消せばいいだけだし。
うん。死んだ後のことは死ぬちょっと前に考えて、今はこれからサモナとどう楽しく過ごすかだけ考えてればいい。
「あ、複数の恋人OKって言ってたけど、コッチでも同じ?」
「え…マスターが人間の恋人を持つということですか?」
サモナの眉根にぎゅうっっっとシワが寄った。
「もちろん構いませんが、私と同等かそれ以上の力を持っていなければ個人的に不愉快です」
「悪魔より強い人間……?そんな奴いるのか?」
「さぁ…聞いたことはありませんが、実際マスターの『媚薬効果』は並の悪魔以上ですし、いないとは言い切れません。恋人候補が現れれば、私がすぐにバトルを仕掛けて力を確認いたしますね」
……これは…『人間の恋人ができそうになったら、即ソイツを倒しに行く』って言われてるのかな。
あ…あれれ?
『ヤリまくりでも文句言われない大悪魔っていいな』って思て願ったのに、これじゃオレが生きてるうちにヤリチンハーレム路線に行くのは無理じゃないか。
「サモナ『魅了』の効果ってどのくらい続くもの?」
「基本的にはずっとです。でも複数いる恋人たちの関係が良くない場合は、強い恋人が他の恋人の『魅了』の効果を打ち消すこともあります」
弱いとはいえ一応サモナの『魅了』がオレにかかってるのを感じる。
つまり、生きてる間は確実にオレがサモナに飽きることはないってことか。
なら、今生で無理にヤリチンデビューする必要もないかな。
でも魔界に戻ったサモナが、大悪魔目指して恋人作りまくりだと思うとちょっとムカつく………。
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