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[おまけ]
深い眠りに入るまでの間、取り立てて思い出すつもりもなく今日の出来事が頭の中を巡っていた。
そう言えばサモナのやつ、さらっと『身を捧げ終わってすぐにマスターの息の根を止めてリセットしたかも』とか言ってたよな。
………。
「はっ!お前、オレのこと気にくわないって思ったら、サクっと殺す可能性あるんじゃね?」
ガバッと起き上がって闇の中サモナの顔を見た。
「はい、その可能性はゼロではないですね。『殺すな』って言われてませんから」
オレの上に乗っかったままサモナが呑気に答える。
やっぱりそうか。
油断も隙もたっぷりあるけど、それでも悪魔は悪魔だな。
「サモナ、オレのこと殺すの禁止な?」
「イエス、マスター」
「これって魔界でも有効?」
「いえ、悪魔になっていつまでも『魔力』や『魅了』のコントロールができず、大悪魔になれないようでしたら当然『リセット』の可能性があります」
リセットって軽く言うなぁ……。
闇の中、じっとサモナの目を見る。
「……大丈夫。お前のために、すぐに大悪魔になってやるよ」
「ま、ましゅたぁっっっ♡♡♡♡」
サモナの目がうっすらピンクに光った。
………うん『魅了』のコントロール、簡単だな。
やっぱりオレはできる男だ。
百五十年後は大悪魔間違いなし。
「俺もマスターが最短で大悪魔になれるよう、相性が良くて強い大悪魔の恋人候補を厳選しときますね」
「え………。大人数とヤれば大悪魔になれるんじゃないの?」
「確かにそうですが、少数の強力な大悪魔と関係を結んだ方がトラブルも少なく、より早く強力になれますから。うまいこと心と体を繋げて恋人の印が育てば五悪魔と関係を持つ程度で大悪魔になれますよ」
あれ?大悪魔ヤリチンルートはどこ行った。
「いや、できるだけいろんな相手と……」
「俺より強い悪魔とマスターが恋人になれば俺も一気に強くなりますし。次はさらに強い相手と……といった感じで最短目指しましょうね」
「え、でも大悪魔ってモテるんだよな。向こうから寄ってきたら……」
「安心してください。おかしな輩は全力で排除しますから。俺より弱い相手とは決して関係を持たせませんよ」
う、浮気オッケーだったんじゃ………???
そして、悪魔になった後は、サモナの尻に敷かれそうな予感……。
………いや。
……………何十年もあとの、しかも死後の話だし、今考えたってしょうがないよな!
[終]
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