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第23話 あんなの不可抗力でしょ?

「ユリさんか……。ユリさんから、情報仕入れてたのか?」  しょんぼりと肩を落とし、身体全体で落ち込む網野から、視線を外せない。  すぐ傍に座っているユリさんに直接問い質しても良かったが、俺の矛先は、網野に向いた。  俺の言葉に、網野は深く俯きながらも、小さく首を縦に振る。  網野の反応に、俺は大きく溜め息を吐く。  俺の話なのに、俺の知らないところで情報が駄々漏れてる……。  茅の外だったコトにも、腹が立つ。 「裏から手を回すような、ストーカーチックなコトしやがって、そんなん反則だろがっ。男なら面と向かってぶつかってこいよ」  呆れるように放った声に、涙に溺れた真っ赤な瞳が、俺に向く。 「面と向かってぶつかって、玉砕したじゃないですかっ。押してダメなら引いてみろっていうじゃないですかっ」  ぎゃあぎゃあと煩く喚き散らすカラスのような声で、俺の理論は間違っていないと言いたげに、食って掛かられた。 「俺を引かせてどーすんだよっ」  ボサボサに乱された頭を、ばちんっとシバく。  叩かれた頭を押さえた網野は、恨めしそうに俺を睨めた。  チャラい男が嫌いな俺のために、止めた金髪。  服装にも気を使っているらしい。  確かに、今のスーツ姿の網野のチャラさは、きっと金髪姿の4年前に比べれば、かなりマシなのだろう。  だが……。 「外側どんなに着飾ったって、お前の根本は、チャラい」  目の前のハイボールに手を伸ばしながら、紡いだ俺の言葉に、網野が隣で息を詰まらせた。 「口紅…塗り心地、試しただけなのに、キスしやがって……お前は、仕事の一環でキスできるってコトだろ? 軽すぎだろ」  吐き捨てるように放った俺の言葉に、網野は反論の言葉を紡げない。 「それに、誰も男側の使用感なんて求めねぇんだよっ」  言葉尻に合わせ、キッと睨むような視線を投げた俺に、ぅぐっと息を詰まらせた網野は、感情を爆発させた。 「あんなプルつや唇見せられたら、キスもしちゃうでしょっ」  なんだよ、その理論……。

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