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第5話
『今日は来なくていい』
これって?どういう意味?
もしかして嫌われた?
頭のなかで『来なくていい』がエンドレスでリピート再生される。
やっぱり昨日の夜、先輩を寝落とすまでしつこくちゅーしちゃったからかな~。
それとも寝坊してお早うのちゅーし忘れて出てきちゃったからかな~。
って、そんな訳ないか!
理由が知りたい。
そのために、僕は “来るな” と言われた先輩の部屋へ足を向けた。念のため、惣菜を買って。
呼び鈴を押し、先輩を待った。
…いないのかな。
もう一度押した。
ガチャ!勢いよくドアが開き、先輩に抱きつこうと玄関に向かって弾みをつけた。
「先輩、どういう事で…」
「誰だよ、オマエ」
片腕で胸を押され、止められた。
あれ?間違えた?いやいや部屋番あってるし。
「どちら様ですか?」
「俺が聞いてるんだよ」
背の高いイケメンがイラついている。
「僕は柴田さんの後輩で事代堂といいます」
「今忙しいから帰って」
それだけ言ってイケメンは扉を閉めた。
(会えなかった…)
てゆうか、あの人誰!?
僕の事飽きたのかな…。
まさかあのイケメンとっ…!
人様の玄関先で悶えるのも恥ずかしいのでとりあえず帰宅した。
冷蔵庫から冷えたビールを取り出し一気に喉に流し込む。
(…やってらんないよ~)
先輩の為に買った惣菜を肴にやけ酒してやる!
続けて二本ビールをあおり、早々にベッドに入った。
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