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第9話
スマホから呼び出し音がする。
ちらり、、《柴田真幸》、先輩から電話…。
17時30分そろそろ終業時間か…。
出たいけど出たくない。
しょ~がない!
「…もしもし…せんぱ…」
「志摩、今行くから」
えっ!『具合は?』とか『行っていい?』とか無いの?
「先輩?」って、切れてるし!?
もぉ、、、
電話から30分程で呼び鈴が鳴った。
先輩か…。
電話出ちゃったから居留守はやめよう。
玄関に行って先輩を出迎える。
「…はい…」
「邪魔する」
ああ、スタスタと…。
先輩はキッチンで持参したレジ袋からレトルトのお粥やカレー、親子丼、スポーツドリンクを出し始めた。
「2~3日分はあるから」
「あ、ありがとうございます」
僕に気を使ってわざわざ買い物まで…。
拗ねて会社に行かなかっただけなのに…しゅん…。
そんな僕の気持ちを察したのか先輩がうなだれる僕の後頭部に手を掛けてきた。
ちゅっ、先輩からの優しいキス。
心が解れる。
「明日は来い…んふっ」
先輩からのキスが嬉しくて、僕からも先輩にキスをした。
「離せ…んっ…し、ま…」
簡単には離しません!
「はぁ…んん…」
先輩、美味しい…。
夢中で唇に吸い付いた。
「ふぅ…あン…」
バランスが崩れて体が傾く。
と、先輩の腕が僕の首に回される。
「し…ま…ンっ」
よしっ!先輩をメロメロにした!
唇で先輩の唇を食み、舐め、味わう。
先輩の細い腰に腕を回し、キスを深くする。
夢中で口腔に舌を伸ばして隅から隅まで舐め尽くした。
「はっ…あぁん」
僕を見つめる先輩の目に涙が溜まってきて、あぁ…可愛い…存分に鳴かせたい…。
不埒な事を考えていたら…振動が…スマホ?
うっとりしていた先輩の目の焦点が定まってきて…携帯の画面を確認した。
「あ」
小さく発した言葉のあとに “しゅうれん” という形に口が動いたのを僕は見逃さなかった。
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