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第10話

携帯の画面を確認すると、先輩は帰っていった。 部屋に一人残されて寂しいが先輩の差し入れ、レトルトカレーとパックご飯、ゼリー飲料(ビタミンって書いてあるけどデザート)をありがたく頂くことにした。 見たことないパッケージでちょっとお高いレトルトなのか美味しさに驚いた。 ゼリー飲料は…ビタミンって感じがする。デザートではないな…。 本日の一食目を食べ終えてようやく一息つけた。 そこで思い出す。… “しゅうれん” って、誰だよ! やけに仲がいいじゃないか。 エロいことまでしちゃって! ふつふつと怒りが湧いてくるが、先輩にキスできたので今日はもう妬かない、妬かない…うぅ。 明日、会社で聞いてみよう。 出勤して一番、課長には『体調管理が行き届かず申し訳ありません』的な事を言って穏便に済ませた。 ずる休みしちゃったからな、反省。 心の中で一人突っ込みをしていたら柿崎さんと目があって…ニヤリと笑われた。 なぜ?僕と先輩の事、言ってないよね? まあ、いっか。 僕は自分のパソコンを立ち上げ、仕事をはじめた。 溜まった仕事を片付けながら時計に目をやるともう11時。先輩に昼休憩を尋ねるラインをした。 事務系は概ね12時頃だが、先輩はスケジュールによっては11時や15時などまちまちなのだ。 スマホが震えた。先輩からの返信。 今日は13時、なら大丈夫。一緒します、とメッセージを送った。 「志摩、顔」 柿崎さんがニヤニヤ顔で言う。 「え?」 「デレデレしすぎ。しゃんとしろ」 はーい、と返事だけはしたがデレデレなんてしてないし、と小さく文句を言ってキーボードを叩いた。 「“しゅうれん”って誰ですか」 13時、人もまばらになってきた食堂で僕は先輩に尋ねた。 「…知り合い?」 そこ!疑問形にするの? 「仲良しみたいですね」 「いいわけない」 …ダメだ… 聞きたい答えが返ってこないよ…。 潔く諦めるか…そう思い始めたところで、僕の隣に柿崎さんが座った。 「何か急ぎの案件ですか?」 遅い時間に休憩はいっちゃったから…。 「おかまいなく」 え!居座るんですか? 「もう、言っちゃえば?」 柿崎さんの言葉は僕に向かってではなく、先輩に向けての言葉はのようだ。 先輩がはあ、と大きなため息を落とした。

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