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第18話
今日で分析室への応援も終わる。
仕事中に堂々と先輩を見つめることができて最高だった…。
デキル男の働く姿、先輩カッコよかった~。
でも今日で見納めか…。
イヤ、お使いでまた来るけどね!
がっかりしても手は休めずに作業を進め、ようやく前処理室から出てこられた。
山のような分注作業終わりの達成感なんていらない…。
「志摩ちゃん、ちょっと」
田中さんに手招きされた。
「はい、何でしょう」
「幸せオーラ出しすぎ。刺されるよ」
ん?し・あ・わ・せ…!
「そんな風に見えました?」
「だだ漏れ…ニヤリ」
僕もニヤリ…、だめだめ、両手で頬を叩いた。
あっちゃ~、やっぱりわかっちゃうかぁ~。
急に田中さんが真面目な顔つきで呟いた。
「修漣には気をつけろよ」
え?田中さん今何て…?
田中さんは僕と入れ違いに前処理室に入っていった。
ええ~、なんで皆知ってるの?
今日は13時から先輩と昼休憩。
二人とも食堂でカレーライスを食べた。
スパイシーな香りが鼻に抜けじんわり汗が出る。
ここって安くて早くて美味しいし、メニューも多いから毎日でも食べられる。
でもこれだけじゃ足りない僕は唐揚げも追加した。
「先輩…あーんして?」
「…いらねー」
「見つめてくるから唐揚げ食べたいのかなーって」
もちろん違うのはわかってたけど、物言いたげな視線が気になって。
「…志摩…」
「はい」
「………何でもない…」
…先輩、いくじなし!
何を言いたかったかは分からないままだけど…。
その後は昼休憩が終わるまで二人、我慢比べのようにただただ黙っていた。
「志摩ちゃんお疲れ様。もう営業企画管理部に戻っていいよ」
「田中さん、そこは『寂しくなる』とかじゃないんですか?」
「あ~、サミシクナルナー(棒読み)。またお使いで
おいで」
ま、いっか。
先輩は会議に行ってしまったので一人寂しく自分の職場に戻る。
「お帰り、志摩ちゃん」
「柿崎さん、お疲れ様です」
あれ?他の人がいない。
キョロキョロ見回すとホワイトボードに
『×月×日17:00~企画会議 B会議室』
と、記されていた。
なんだ、会議始まったばかりじゃん、行かなきゃ…と、背後で動く気配がして反射的に振り向くと柿崎さんがすぐ後ろにいて…あれ?
目の前が真っ暗になった。
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