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第19話
あれ?僕、眠ってるのかな?
視界が暗くて周りが見えない。
でも、意識はあるみたい…。
って……ここどこ!?
「ふぐっ?」
「お目覚め?眠り姫」
誰が “眠り姫” だ!
「ふぐぐ!」
「あ~ゴメンね、口にタオル噛ませちゃったから。大人しく出来る?」
コクコク頷いてアイマスクとタオルをとってもらった。
目の前に柿崎さん…。
「な…何で…?僕…?」
訳が分からない。
縛られてベッドに転がされてる理由がわからない。
「混乱してる?そうだよね~」
そう言ってベッドに膝で乗り上げてくる柿崎さんに得体の知れない恐怖がわき上がる…。
「ちょっとね、イロイロ説得したいから協力してもらおうと思ってさ」
僕から視線を外してチラッと後ろを見るその先は……アイツか…修漣…。
もぉ嫌だ、この人…。
「ほら修、言うことあんだろ」
言ってみろ、と柿崎さんがアイツに向かって話かけてるその隙に…縄脱けられるかなぁ。
両足首は纏めて括られていてこれじゃ立ち上がることも出来ないが、両手は体の前側で縛られているので、まあ良心的な縛られ方かな…って、縛る時点で良心がないわ!
「一人で楽しそうだね」
若干の怒気を含ませつつ、修漣が僕の目の前に来た。
「宝漣から離れてって言ったよね。いつまでもチョロチョロしてるとただじゃすまないよ?」
口角が僅に上がり、嫌な感じがする…。
ふんっ!そっぽを向いて抵抗する。
「聞けよ!」
手が上がり、あっ、殴られるって咄嗟に身構えた。
バン、と音がして恐々目を開けると…先輩が…修漣の一撃を背中に受けていた。
僕は先輩に庇われて無事だった。
「…もういいだろ、棗(なつめ)」
「うっ…酷いよ…宝漣…」
何なの、このやり取り…。
もー、最近僕は置いてきぼりばっかり…。
「志摩、すまない…」
先輩の手が僕を捕らえた縄をほどこうとした時…先輩の向こうにキラッと光るモノが視界に入った。
「ダメ!」
全身にありったけの力を込めて、先輩に体当たりした。
「ぎゃっ!」
痛い…肘の少し上から血が滲む。
「…ああっ」
修漣の持っていた刃物を柿崎さんが取り上げた。
先輩は後ろを向き、右手を振り下ろした。
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