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第27話

「今日は揚げ茄子と鶏の唐揚げみぞれ餡掛けなんですよ~美味しそう~」 チラッ、ジト目で僕を見る先輩…。 「先輩、食べましょうよ~」 尚も無言の圧力…。 「…はあ。…伊藤のことですよ…ね…」 チラッ、やっぱり見てる。マジで過去最長見られてる…。 「えーっと、伊藤は僕の同期なんですよ」 「聞いた…で?」 「…新入社員研修も一緒で…配属先が決まるまで遊んだりしてました」 あれ?まだ見てる…。 「他には?」 ドキッ!やっぱり…言わなきゃ駄目? 「…聞きたいですか?」 こっくりと頷く先輩…。 この日が来ちゃったか…覚悟を決めて…。 「実は…伊藤に告白されたことが…あります…」 「…で?」 さらにその先…言うの? 「…先輩、落ち着いて聞いてくださいよ。先輩と付き合う前ですからね!」 「……」 あぁ、コクンと頷くの 可愛い~。 「えと…伊藤に襲われたことが…あります…」 「…やっぱり」 …言ってしまった…あぁぁ、まだ見てくる…。 「でもでも、未遂ですよ!ね!」 「…ふーん」 一層視線が冷たくなってしまった。 はぁ、何でこんな話をしてるんだろう…。 入社した頃はまだ先輩とお付き合いしていなかった。 先輩のことはずっと好きだったけど、まさか恋人になれるとは当時の僕には想像出来なくて。 だからって誰か他の人と恋愛するとかはもちろん僕の中には無かったのだけれど、この伊藤薫は見た目を遥かに越えるタフさ、違うな…猛禽類のような獰猛さを持ち合わせていた。 うちの会社は入社式の後、3週間合宿所で新入社員研修を行うのが通例になっている。 社会人としてのマナーや企業の一員としてのナンとやらを叩き込むためらしい。 伊藤とは研修班がずっと同じで、それ故四六時中話しかけられて…しかもボディータッチも忘れずに…“どこでも一緒作戦”(命名済み)…。 宿泊部屋も一緒だったからまさに朝から晩まで24時間…個室に籠っている時間を除いて…一緒だったのだ。 そんな中で僕は伊藤に襲われた…。 研修一週間目が終わっての飲み会で伊藤はしこたまアルコールを飲んだ。ビールからチューハイ、ワインまで。そして出来上がった酔っ払いは宿泊部屋で僕を襲った。というかこれは未遂。伊藤は僕を襲いきることが出来なかった。 いくらお酒を飲んでいても僕の方が背丈も体重もあるし、そもそも僕はアルコールに強い。 酔っ払いは僕に抱きついてきて好き好きと告白して素肌を触りまくって眠ってしまったのだ。 まあ、覚えていなかったのか次の日にはケロッとして話しかけてきたけど。

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