31 / 115

第31話

ユキさんに抱かれ、優しく暖かな胸の中で気絶するように意識を手放した。 『し…の…』 寝乱れた姿で… 手には枷が… 着物を捲られ、肌が露になる。 …やめて…! 触らないで! 横暴な手が脚を掴み 体を引き摺る。 両足を無理やり開かされ 顔も見えない相手が猛ったモノを捩じ込んでくる…。 …いたい…くるしい… 言葉を発しようにも布をかまされて呻き声がやっと。 渇れてもなお涙を流し 嗚咽を飲み込み 時が過ぎるまで耐える。 ーいつまで?ー 気が狂いそうになる。 体を汚され 心を踏みにじられ 闇を彷徨う……。 ……! ゆめ…じゃない。 生々しい感覚がこれは現実だと…いや過去の事実だと告げる。 『しまの』 先輩がそう呼んだのは昔の名前。 欠落はあるが昔のことを思い出した。 正面には眠りながら僕を抱いている先輩の寝顔。 ああ、この人は以前と全く変わらない。 …やさしいひと… 飼われて嬲られていた僕を助け出してくれた人。 …愛する…人…。 闇の中で光を見いだし這い上がる。 「先輩…」 生きていく喜びを与えてくれてありがとう…。

ともだちにシェアしよう!