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第37話

欲しくて…ただユキが欲しくて折れそうな体を貪った。 ユキは僕にされるがまま、 痛みを分かち合って、どろどろに溶け合って、 境界線が滲んで消えていく…。 触れれば熱を持つ体を朝まで繋げて愛し合った。 どんな夢をみたのか? ユキは一言も聞いてこなかった。 分かっていたのかも知れない。 聡い人だから…。 目が覚めたらもう午後になっていて、裸で抱き締めて首筋に口付ける。 疲れているユキに無茶な抱き方をした。 白い顔に睫毛が影を落とす。 夢と記憶の狭間がわからないんだ。 近寄れば遠退く陽炎みたいに。 全部思い出したら今度は僕がユキのために、この体を捧げるから、 だから僕を一生愛して欲しい。 「…ん…?朝?」 「おはようございます」 「…って、もう昼過ぎてるじゃないか」 つい…無防備な寝顔を堪能してしまった! 「何か食事を用意しますね」 体を離して起き上がろうとして…するりと首に腕が回される。 「もう少しこのまま…」 目が合って真っ赤になる。 何、このデレデレな初(うぶ)な感じ! 「…うん」 頷いて顎を掬いキスをした。 触れるだけの、キス。 「…そうだね…」 腕を絡めて、心も寄り添って、 いつまでもこのままで…。

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