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第41話
とにかく急いでバスローブを着て、しんと静まり返ったバスルームを覗く…。
薫は…バスタブのフチに体を凭れかけて…眠っていた…いや、眠っているように見えた。
それでも、油断大敵…!
「薫、寝てるの?」
そろりそろりとバスタブに近寄ってみると…その顔は天使のようだ。
「薫、薫、起きて」
体を揺すってみたが、反応悪っ。
でも、このままじゃ風邪ひいちゃう。
溺れないようにお湯の栓を抜いたから…。
バスローブを体に掛け持ち上げる。
軽っ、成人男子っ?
姫抱きでベッドに運んだ。
眠りたいけど…隙を見せると何をされるか…。
そうだ、大して効果はないかもだけど…。
…これで時間が稼げる。
「わわっ」
大きな声がして目が覚めた。
んん~3時?
ベッドとベッドの間に薫が落ちていた。
「起き上がれる?」
手を差し出して引っ張りあげた。
「足が引っ掛かって…何これ?縛ってある」
もう気づかれちゃったか…。
薫の両足をバスローブの腰ひもで結んじゃう作戦。
両足をいっぺんに括るのではなく、紐の端で足首を縛り、反対側の端でもう片方の足首を縛った。
「これ、地味に痛い…解いて」
え?僕が解くの?…しょうがないか…。
硬く結んだ紐を解く。
「ほら、解けた…」
「志摩ちゃん…いたずらしたらいけないよ」
見上げた薫の目の奥に妖しい灯が点る。
あ、デジャヴ…。
過去この目を見た。
でも…前回よりヤバいと本能が告げる。
「寄って来ないで…」
「怖がらないでよ。志摩ちゃんに体格で敵わないのわかるでしょ」
あ、そうだった。
身長20センチ、体重20キロ近く違うのだ。
「志摩ちゃん、どうしたの?」
薫の顔が近づいて…腕をとられた。
「あっ!」
…そして、バスローブの紐で腕を括られた…。
「わあっ、離して薫ー!」
「僕ね、あの時志摩ちゃんに敵わなかったから体を鍛えたんだよ」
え?何?聞いてないよ!
「ちょっとだけ言うこと聞いて♥️」
そんな、語尾にハートマーク付けて言われても…きけないよ…。
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