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SS-1-2『気になるあの人』

源センセイは先日の学会開催地に近い大学にお勤めしているので…今日はホテルにお泊まりだそうです…ですよね…。 僕にちょいちょい絡みつつお酒を飲み…そんな飲み方楽しいかなぁ…そこそこの酔っぱらいが出来上がった。 酔っぱらい怖いから嫌い! めっちゃ上機嫌で先輩に絡む。 「柴田先生、どこかで飲み直しましょう!」 まだ飲む気なのか…。 「そろそろホテルに帰った方がいいですよ」 田中さん、もっと言って! 「…じゃあ…柴田先生、ホテルまで送って」 な・ん・で!先輩が送るの? 「しょうがないな」 ちょっと!先輩も!素直すぎるよ! 「君は来なくていいよ~」 絶対に行きますとも! 「お供します…」 よろしくね、と田中さんは帰っていった。 運転手さんに告げた行き先は…センセイめっちゃいいホテルにお泊まりで…。 都心の一流ホテル…。 誰が支払うのか…気になる…。 「源センセイは、東京に出張だったんですか?」 タクシーの中で先輩に聞いた。 もちろん後部座席に三人並んで座って、真ん中は源センセイ…。 ブレないなぁ。 「今日はうちの会社に来てもらったんだ」 「えっ!」 じゃあホテルの支払いはウチの会社? 「マジっすか…」 「そんなに嫌そうな顔しなくていいよ」 嫌なんだからしょうがない。 「早く部屋に送っちゃいましょう」 二人で担ぎ上げたが正直しんどい。 「うぅ、センセイでかくて重い…」 180センチ越えの身長と厚い胸板。 受付で宿泊階を教えてもらい、エレベーターへ。 ダブルベッドにゴロンと転がしお役御免… 「おい…待て…」 腕をぐいっと引かれた。 凄い力…。 「真幸と…付き合ってるのか?」 おぉぉ、ストレート…。 「は、はい…」 ギロッと睨んでる…怖いよこの人~。 「志摩に絡まないで下さい」 先輩が呆れ顔で僕を庇う。 「俺の可愛い宝漣が…そいつが大切なのか?」 「当然でしょう?」 先輩カッコいい! はあ、大きなため息をついて僕の腕は解放された。 「まさかこの間のアレ、そいつに見せたのか!」 何の事だろう? 「あ…」 あれれ?先輩の顔が真っ赤…? 「あんなの置いていかないで下さい!修漣に見つかって…」 しまった、という顔をして先輩が僕を見た。 焦る先輩、レアだ…。 しかし何だろう、この疎外感…。 後でゆっくりと先輩(の体)に聞いてみなくては…! 「と…とにかく、大人しくして下さい」 「…納得できない」 「して下さい」 おぉ、先輩カッケーです。 「帰ります、志摩…」 「はいっ…失礼します」 パタン…ほっ…やっと帰れるよ~。 「先輩、待って下さい~」 先輩はさっさとエレベーターホールに向かって歩いて行った。

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