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SS-1-7『気になるあの人』

「え?」 ユキさんのおうちで握っていたフライパンを落としそうになった。 朝ごはんのおかず、目玉焼きを焼く前で良かった。 「だから…」 ふいっと僕に背を向けて言葉を続ける。 「…アレは事故だった」 「そんな事言っても騙されませんよ!」 朝っぱらから何の話をしているのか…それはあの黒いセクシーパンツについて…。 「惺漣が送りつけてきて…それを見た修漣が誤解して…あ…あんな事に…」 「だからって、アラレもない姿で…ズルイですよ、僕だってあーゆープレイしてみたいですよ!」 「……」 …あ、しまった…ユキさん、黙っちゃった…。 「で…でも昨日じっくり見せてもらいましたから…」 チラッ…怒ったかな…? 「やっぱり志摩も…ああいった格好…」 「え!」 ドキッ!いいの?いいの? 「…やっぱり…だめ」 オッケーして欲しかった…。 「ユキさんが嫌な事はしたくないです」 フライパンは取り敢えずコンロに置いてユキさんをうしろから抱っこする。 本当はしてみたい。 だって男の子だもん。 でも… ん、と小さな声で気持ちよさげな声を出すユキさん。 あ~可愛いくて食べちゃいたい、ぱくっと耳を食んだ。 「やぁん…し…しまぁ…」 う…目に毒、耳に毒…。 「ユキさん、外でそんなに可愛い声を出さないで下さいね!」 「…俺の事をそんな風に言うの、志摩だけだから」 ふふ、と微笑むユキさん、はははと笑う僕。 短い時間に物凄く仲良くなれたと実感する。 いや、短くないか…。 ずっと…ずっと前から長い年月をかけて、やっと恋人になれた…やっと…。 これからは恋人として生きて行ける…ユキ。

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