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SS-2-2『聖夜』
いつも通りの先輩とのランチタイム。
「先輩のグラタン、美味しそうですよね~」
「ん」
僕のおねだりに応えてスプーンで掬って差し出してきた。
「あ~ん…ん!んまい!」
食堂で提供される食事がホントに美味しい。
ほっぺをなでなでしてると先輩の視線を感じた。
「僕のカツカレー、食べてみます?」
あれ?視線からがっかり感が…。
「いらねぇよ」
え~カツカレー美味しいのになぁ…。
「そうだ、24日の夜にご飯食べに行きませんか?」
先輩はグラタンを運ぶ手をぴたっと止めた。
「…予定…予定を確認するから保留で…」
えー!そこは 了解!でしょ!?うぅぅ~ぐすん。
「…早めに返事下さいぃ…」
がっかり…。
午後の仕事…乗り切れるかなぁ…。
なぁんて…甘かった。
それから数日間年末進行の仕事が増え、先輩とのランチタイムまでお預けとなってしまった…。
世間で言うクリスマスイブイブの日、朝からモチベーションだだ下がりでパソコンのキーボードを叩いていた。
…先輩からデートの返事をもらってない。
「志摩、暗~い。柴に嫌われたか?」
うぅ~柿崎さん、シャレにならないタイミングですよ…。
「…な訳ないじゃないですか…会えてないんですよ」
そもそも僕に仕事振ってくるの柿崎さんですよ!
…円満な社会生活のために、全てを声に出してはいけない…。
「…営業企画管理部篠崎です…はい、…え?本当ですか?ああ、それで…はい、わかりました」
スマホをポケットにしまった篠崎さんと目が合う。
「志摩、大変だぞ」
普段直接話すことの少ない篠崎課長が話しかけてきた…嫌だなぁ…。
「高野メディラボ、依頼不備が見つかって明後日までに追加でデータ300だって」
「ぎゃっ!?」
「柴、泊まりだな」
柿崎さんがケラケラ笑ってる…鬼だな…。
マジ?マジなの?
500件中の200件しか追加になってなかったからおかしいと思ってたんだよ~!
やっぱり300件は不備か~!!
「それ、僕が営業に確認して欲しいって一週間前に問い合わせした件ですよね、返事が遅くないですか?」
そう、変だと気づいたよ!ちゃんと!
500件データ出してからの追加データ200…。
同じような内容だから残り300も追加に違いない…そう思って営業に確認を頼んだのに~!
「向こうの担当者がインフルで出勤停止だったんだと。規模の小さい会社だからね、引き継ぎ出来なかったんだろ」
ワクチン打っとけ~!
「じゃあ先輩は泊まり込み…!」
「志摩手伝ってあげてたよね。また行ってくれるかな」
「はい、了解です!」
今やってる仕事を片付けて残りを柿崎さんに渡せば先輩のお手伝いに行ける…!
僕は過去最速でキーボードを叩いた。
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