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SS-2-4『聖夜』

でも…眠れる訳ない…。 だって先輩一人で仕事してるんだよ! もう真夜中だし! …一人だとちょっと寂しいのもあるけど…イヤイヤ大人だから大丈夫。 自販機で買った温かいココアを飲んで、休憩室の机に突っ伏してたら…いつの間にか眠ってしまっていた。 自分が仕事をしている、スローモーションで。 そう、一週間前にもこの試験やってる…。 …ここでA試薬を添加して反応が…。 あれ?そう、A試薬のラベル…んん? 脳内で再生された映像(?)によると前回と今回のラベルが違う…。 はっとして顔を起こした。 ロットが替わったのか…。 だとすると…補正係数が違ってくる…。 もう田中さんがデータ見てる…急がないと…。 思い切り立ち上がった勢いで椅子が倒れたが、そんな事も目にはいらない位に慌てて休憩室を飛び出していた。 「ぎゃっ!痛てて…先輩!試薬のロット替わってます!?」 焦って自動扉にタックルかまして肩が痛い。 「志摩、ヨダレの跡…」 はっ!恥ずかしい…拭いとこう… じゃなくて! 「違います、試薬の…」 「…知ってる」 「え?な~んだ…」 ほっとして力が抜けた…。 「試薬管理してるの俺だし」 そうだった。 「試験する前にロットは全部確認するだろ?」 …ええ、僕はよく忘れますけどね…! 「そうですね…じゃ、もう少し寝てきます…」 は~っと長く行を吐いたら…先輩が近寄ってきて…。 ちゅっ、と頬にキスをくれた。 「ありがと、志摩」 「先輩!」 「は…早く行け!」 あ~、照れてあっち向いちゃった。 恥ずかしがってる顔、見たかったな~。 今度は落ち着いて自動扉を通った。 仮眠を取った後、先輩と交代して試験の続きを行いデータが出揃ったのが13時。 合間に軽食は食べたけど…いろいろもう限界…。 床にへたりそう…そんなタイミングで 「柴田と志摩、お疲れ様。後は大丈夫だから帰って休め。それから明日は二人とも休んでいいよ、有給だけど」 そう言われたら田中さんが女神に見える…あれれ?末期? 「ありがとうございます。帰るか、志摩」 「はい」 ありがたく先輩と一緒に家に(←勿論先輩の部屋)帰った。 早くお布団に包まれたい~。

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