59 / 115
SS-2-5『聖夜』
先輩の部屋へ向かう途中、電車に揺られて眠くてしょうがないんだけど不思議と多幸感に包まれていた。
先輩とほぼ1日、仕事とはいえ一緒にいたのだ。
仕事中の先輩がカッコ良すぎて…胸がドキドキしちゃった…。
「うふふ」
思わず笑い声が漏れてしまった。
「志摩、大丈夫じゃないな」
あ、心配させちゃった。
「大丈夫ですよ。早く帰りましょうよ」
真っ昼間から手を繋ぎそうな位テンションが高くて、先輩が僕を見る目が少し痛々しかった、
「あ~お布団~最高~!」
先輩ごめんなさい。
もう全てがムリです…。
「志摩、俺は寝る。起こすなよ」
「了解です」
邪魔なスーツを脱ぎ散らかして肌着とパンツでベッドに潜った。
勿論一緒のベッドに。
先輩のベッド、寝心地がいいんだ~、ダブルサイズだし。
先輩はちっちゃくて可愛いけど僕は普通サイズだと窮屈だからこのベッドだと伸び伸び眠れる。
…いや、いつもは眠らないから!
でも…今日は…寝る…。
目蓋が…重い…。
先輩、柴田真幸は高校の先輩だった。
入学してすぐに出会い、先輩のいる科学部に入部した。
先輩への恋心は出会ってすぐに加速度的に上昇していったがそれを伝えることは出来なかった。
…男だったしね…。
ならばせめて近くにいようと必死で勉強して同じ大学へ進み、同じ会社に入った。
入社してすぐに部署の先輩である柿崎さんが僕を飲みに誘ってくれたのだが、その時に大学の先輩もいた方が緊張しないだろうとユキさんを誘ってくれて三人で飲みに行った。
柿崎さんはとにかく話上手で気分を良くした僕はしこたま飲んでしまってその日はユキさんの部屋に泊めてもらった。
で…泣きながら告白して…うん、いいよって言ってくれて…。
そこからスタートして二年…やっと先輩と一つになって…はぁぁぁ…。
…幸せ…だ…。
ともだちにシェアしよう!