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SS-2-9『聖夜』
「…すぐに挿れて…」
「え?ケガしちゃうから駄目です」
ここは譲れない。
「……したから…」
え?
「…だから!自分でしたから!」
ユキは言い終わるなり両手で顔を隠してしまった。
「自分で?」
ユキが頷く。
超絶恥ずかしがり屋なユキが…!
「僕の為に…ありがとう」
「…も、いいから…早く…」
「挿れますね」
ん…とユキが小さな声を出して、僕はゆっくりと腰を進めた。
ずぷん、と最後まで挿れればユキの体が震えている。
「痛かったですか?」
ユキは首を振る。
どうして…と聞こうとして口を閉じた。
…泣いてる…。
「…違う…嬉しい…んだ…」
嬉しい…それは僕の方だ…!
「ずっと…ずっと前から志摩が欲しかった…」
手の影から涙が流れ落ちる。
「そんな資格が無いのは解ってた。俺が…志摩を酷い目にあわせた…」
「それは違います!」
指同士を絡ませて両腕を頭上に縫い止めた。
過去の僕に危害を加えたのはユキはじゃない。
「ユキは僕を愛してくれました」
…だから…
「…僕はユキさんのものです」
華奢な肩を、薄い胸を…
どれだけ触れても、抱き締めても足りない。
お互いの温もりを確かめ合い、喘ぐ声までも吸い取って……深く…
…望むままに…抱き合った。
肌を貪る喜びに歓喜の涙が止まることはなく、このまま時が止まればいい、そう思った。
何度目かの絶頂を二人で迎え、夜が明け始めた頃にユキが僕に言った。
「…志摩、誕生日おめでとう」
「あ…!」
そう、僕の誕生日は12月25日…クリスマス。
大人になってから、その日は僕の誕生日というよりもクリスマスの日という認識になっていた。
だって世間はクリスマス一色。
「誕生日プレゼントにプロポーズと指輪…」
こんなに幸せな日が来るなんて知らなかった。
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